「プロ野球ドラフト会議　ｓｕｐｐｏｒｔｅｄ　ｂｙ　リポビタンＤ」が２０日、東京都内のホテルで行われ、阪神はドラフト１位で白鴎大・大山悠輔内野手（２１）の交渉権を獲得した。即戦力投手の指名が予想された中、当日午後に、急転、大学日本代表で４番を務めたアマ球界屈指の強打者に方針転換。会議終了後、都内から栃木県小山市の同校へ指名あいさつに駆けつけた金本知憲監督（４８）は、将来の４番に指名した。

　「阪神　大山悠輔　内野手　白鴎大学」－。信じられなかった。控室のテレビでドラフト中継を見入った大山は、自らの名前が読み上げられた瞬間、頭を真っ白にした。「順位とかっていうより、本当に指名していただけるかどうか分からなかったので…。１位指名なので、本当にビックリしました」

　即戦力投手かと思われた金本阪神が、一転、大山を指名。会場も、この日一番のどよめきが起こった。しかし、サプライズと言っては失礼なほど１位指名の勲章にたがわぬ、輝かしい実績の持ち主だ。今春、関甲新学生リーグ新記録となる８本塁打をマーク。今夏は大学ジャパンに選出され、日米大学野球選手権の４番を務めた。今秋はリーグ記録の通算１２０安打まであと２本に迫っている。阪神待望の、和製大砲の獲得だ。

　運命に導かれた猛虎に、大山は思いをはせた。「阪神はファンの方が一戦一戦熱い応援をしているという印象。高校のときに目指してかなわなかった甲子園で、プロでプレーできるのはうれしい。大観衆の前で思い切りプレーしたい」と初々しく決意。指揮官から「タイプ的にはヤクルトの山田選手にちょっと似ているかな」と素材にほれ込まれた逸材は、「山田さんは打席で雰囲気がある。自分も存在感のある選手になりたい」と理想像を描いた。そして「自分は初球から積極的にフルスイングしていくのが強み。プロでもフルスイングしたい。いつかは阪神の４番、日本の４番を目指してやっていきたいと思います」と大きな夢を描いた。

　かねて金本監督を尊敬していた。「現役時代に、骨折してもヒットを打っている姿を見ていました。プロとは、そのくらいの覚悟を持ってやらないといけないと思っている。僕も強い気持ちを持ってやっていきたい」。大山自身も、「大きなけがはほとんどしたことがないです」という。大学２年夏のオープン戦で、スライディングの際に右肩を脱臼したが痛みにあえぎながら「バッティングだけならできます」と指名打者で強行出場。“鉄人”を地でいく監督好みのプレースタイルだ。

　会議終了後、直々に指名あいさつに訪れた金本監督と初対面し、「改めて期待していただいているのを感じた。期待に応えられるようにしたい」と身震いした大山。大学で４年間熟成したアマＮｏ．１スラッガーが「雲の上の存在だった」という同学年の藤浪、北條と同じ猛虎の仲間入りを果たす。