隼太プロ初4安打&今季1号ソロ「こんな日があってもいい」

 「ヤクルト0-8阪神」(5日、神宮球場)

 これがこの男の底力だ。本塁打を含む4安打の固め打ち。昇格後即スタメン起用された阪神・伊藤隼のバットが火を吹いた。プロ初の4安打に「こういう日があってもいい」と、充実した明るい表情。続けて「すぐに使ってもらってありがたい」と、指揮官へ向けた感謝の言葉を忘れなかった。

 1打席目から気持ちが入った。0-0の二回1死二塁で、初球を中前にはじき返してチャンスを拡大。積極的な打撃で、自分のペースに持ち込んだ。その後、右へ左へ1本ずつ広角に打ち分けて猛打賞。だが、この日はこれで終わらない。

 九回、ゴメスの2ランで7点差に広げた直後。球場のボルテージが最高潮に達していた時だった。右方向へ打球が飛ぶと、右中間スタンドに着弾。「そういうバッターじゃないけど、アピールしたいところ」。今季初アーチ。パワーも示した。

 試合後、指揮官は「前回落とした時も心痛かった。彼が一番ベンチで声を出していたから。抹消期間中、しっかり調整してきたからいきなり仕事ができたと思うし、他の選手も見習うべきところだと思う」とたたえた。

 今季は「右肩関節唇損傷」で出遅れた。2軍での長いリハビリ生活。心が折れかかったこともあったという。「(2軍トレーナーの)仲野さん(の存在)が大きかった」。親身になってサポートしてくれたことに感謝し続けている。

 「これを継続できるか」と伊藤隼。苦しみからはい上がった男は、まだまだ暴れ足りない。

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