岩貞まるで別人…“厳しい判定”で試練

 「交流戦、阪神3-12西武」(3日、甲子園球場)

 まるで別人の投球に、甲子園がため息に包まれた。前回登板の巨人戦でプロ初完封を成し遂げた阪神・岩貞祐太投手(24)が、西武打線の前に自己ワースト9失点と崩れた。厳しいボール判定に泣かされた面もあったが踏ん張り切れず、チームの連勝も止まった。奮闘を続けてきた左腕に訪れた試練。阪神担当・杉原史恭記者がその現状に迫った。

 1週間前、巨人戦でプロ初完封した岩貞が別人のように打ち込まれた。今季の交流戦初先発。西武打線に対して、5回2/3を9安打9失点。メヒアの満塁本塁打がクローズアップされるが、伏線は前の秋山、栗山の打席にあった。

 0-0の三回、岩貞は連続三振で、2死を奪う。1番・秋山に対しては慎重に攻めたが、フルカウントから外角球をボールと判定され四球。金子侑は左前打。満塁で4番には回したくない場面だ。岩貞は栗山に対してカットボール、シュートを交えて、際どいコースを突き続けた。だが、フルカウントからの外角球を再びボールとジャッジされてしまう。

 この瞬間、ストライクと確信していた岩貞はガックリした表情を浮かべた。それまで何度も際どい判定が重なっていただけに、気持ちの切り替えは難しかっただろう。そして、2死満塁からメヒアにバックスクリーン左へ運ばれた。連続無失点が20イニングで止まる甲子園初被弾だった。

 試合後、岩貞は三回の投球を「慎重になり過ぎた」と振り返り、厳しい判定に「苦しいところはありました」と話した。金本監督も「秋山への球、最高のアウトローがボールと判定されたのが、今日のポイントだったかな…。オレはストライクに見えたけれど…」とコメントした。

 際どい判定が重なると、精神的に追い詰められ、少しずつボールは中に入っていくという。岩貞も「多少、それはあった」という。メヒアに対してはつり球が甘く入り、失投となった。香田投手コーチも「四球でリズムを崩した。いつもあそこは切り抜けていた」と説明し、メヒアへの1球を「それまで慎重にいっていたから、もう少し慎重にいってほしかった。開き直るところではない」と指摘した。岩貞最大の持ち味は思い切って腕を振れること。だが、メヒアの打席ではそれが裏目に出てしまった。

 この試合は巨人戦に続いて4四球。それまで8試合で11四球だったことを考えると、大きな変化と言ってもいい。さらに初球がボールになるケースが多く、さらに3ボールも6度。フルスイングする西武打線を警戒するあまり、投手有利のカウントに持ち込めなかった。今季、岩貞が覚醒した最大の要因は制球力向上にあったが、ここ数試合は制球難が顔をのぞかせる。

 開幕から2カ月。一夜にして防御率は0・88から2・01に。急成長を遂げた岩貞に初めて試練が訪れた。香田コーチが「これも勉強だ」と言ったように、この夜のKO劇を今後への糧としたい。

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