坂井オーナー 金本監督鬼になって!

 阪神・坂井信也オーナー(67)がデイリースポーツの直撃インタビューに応じた。主題は「監督論」。総帥は指導法の今と昔に触れ、今の時代の「難しさ」に言及。昔の良さを今に当てはめることに疑問を投げかける一方、普遍のものとして、組織には「怖い人」が必要だという持論を展開した。ときには「鬼」になって-。「厳しく明るく」をモットーに掲げる金本知憲監督(47)への期待感をにじませるトークをたっぷりと。

 変革を託した金本監督は、坂井オーナーが求める「理想の監督」になれるのか。

 「川上哲治さんや西本幸雄さん…成績と結果の伴った素晴らしい監督さんはいらっしゃいますけれど、理想の監督像というものは、その時代やチームの状況によっても変わるものだと思います。これから伸びていかないといけないチームにとってはエネルギーを持った監督が必要でしょうし、ある程度できあがったチームを維持していこうと思えば管理できる監督が必要。例えば大変革が必要なときにあまり伝統を背負った監督では変えられない。これまでの慣習をぶち破る必要があるなら、極端に言えばアメリカ人の監督だっていいのかもしれない。そのときどきによって求められる像は違うでしょうけど、変革を求められている今のタイガースにおいては金本さんのようにエネルギーを持った熱意のある人、現役時代の実績が物語るように、変えていけるというオーラ、力を持っている監督が理想ではないかと。選手の気持ちを変えられる力があるという意味でも、ベストな方だと思って要請させてもらいました」

 金本監督は昨年まで3年間の評論家時代にプロ野球においてもやはり「怖い監督」がチームを強くする例が多いと語っていた。

 「同じ意見です。私の持論でもあるんですけれど、組織には怖い人がいないといけない。会社でもそうですが、特にプロ野球は戦う集団ですから、皆がいい人ではよくない。役割分担だと思いますが、例えば監督が優しかったらヘッドコーチが怖いとか、フロントが怖いとか、組織のどこかに難儀やな…という人、スーッといかないな…というものが絶対に必要だと思います。昨年までの巨人で言えば、原監督。もともとそういう方ではないと思うのですが、自ら怖くならないといけないと思われていたのか、監督には絶対的な権限があるぞ、というものを示されていましたよね。クリーンアップを打っている人を8番にしてみたり、人事権を持っている怖さを意識して出されていたように思います」

 昨季までのチームには「怖い人」が不在であったように映る。

 「チーム内に『この人には逆らえない』というような絶対力は必要です。なんとなく皆が物分かりが良くて、ちょっとエクスキューズを言えば認めてもらえるというような雰囲気があると、どうしても甘さが出てくる。選手がしんどいと言って、少し無理させようものなら、もうこれ以上やらせたら…というような甘さがね。ここで踏ん張れよ!つぶれたらオレが骨を拾ってやる!というくらいの強さも戦う中では要るような気がします」

 金本監督の指導におけるモットーは「厳しく明るく」だ。2003年に優勝した星野監督は就任会見で「私は鬼になります」と言った。金本監督は「僕は優しいから鬼にはなれない(笑)。そういうものはコーチに任せようかな」と言った。

 「金本さんご本人に怒り役になれとか、どつき回せという意味ではないんですけれど、怖さとか難儀さとかスーッと言い訳が通らないということを意識してもらっているのであれば、わが意を得たり。そういう組織をつくってほしいと思っています。怒るというのはなかなか難しいことで、怒って怒りまくっていたら誰もついてきませんからね。怒って緩めて、緩めて怒ってというようにね。金本さんはそういう人間性を持っている人ですから、この人は怒っても何かのときにはきっちり見てくれる。そういうものがなければ務まらないと思いますし、金本さんはそういう天性のものを持っておられる。チームには怖い人がいないとダメだとか、自分がプロ野球の世界でここまでこられたのは怒られてきたおかげだとか、ほかのチームを見渡しても厳しい人がいれば強くなるということをよく分かっておられるのではないでしょうか」

 若い選手たちがその「怖さ」をどうとらえるか。金本監督は「今どきの若いものは」というフレーズを嫌う。「自分のおじいちゃんの時代だって若者はそう言われていたと聞くから」と。金本監督の若い時代と「ゆとり世代」では価値観も違うが…。

 「今どきの年寄りのほうが、よっぽどええ加減やったりもしますしね(笑)。若い人のやり方が自分たちの価値観から見て外れているということなんだろうけれど、逆に若い人から見ればわれわれの価値観が外れているわけでね。その価値観が正しいか正しくないかの判断は非常に難しい。それがものすごく理に反したことなら、それはおかしいということになるけれど、合理的にやることがダメだとか、やることをやっているのに遊んだらダメだとか…それは違うと思いますし、違う時代の違う環境にいれば、価値観は変わってきますよね。スポーツの世界では必ずあることですけど、じゃあ昔の体育会系の規律規範というものが「勝つために」絶対に必要なのか。昔の時代は良かったとか、そういう言い方は私もあまり好きじゃないし、決めつける必要はないと思います」

 ただ実際に現場でベテランのコーチに話を聞いても、今の選手は昔よりも指導しづらい面が多いとも聞く。金本政権の指導者も教えるうちにそんな壁にぶつかるかもしれない。

 「今は情報があふれているでしょう。昔みたいにコーチの言うことが絶対でこれしかないということではなくて、インターネットなどで自分で色んな情報を取り入れることができて、あっちではこういう指導をしているけれど、これは正しいのか…と理屈っぽくなるというか、自分自身で考えることができるから指導者から教えられたものを鵜呑(うの)みにしにくいのでしょうね。われわれの時代は上からこうだと言われたら金科玉条のごとくそれしかできないと思っていたけど、今の時代はそうではないのでね」

 そばにいる指導者よりもほかに信じるものが多いと迷いも生じてくる。

 「有名選手の体験談などがどんどん頭に入ってくるので難しい時代だとは思う。違うスポーツから色んなものを取り入れたりして成功することもあるけど、それは希有(けう)な例だと思います。どうしてもそれらに走りがちになるのでしょうけど、しっかりとしたコーチに教わったことのほうが絶対に身になると思います。技術指導しても少し結果が出なかったらすぐ違う方法でチャレンジする…それは若者気質かもしれないけれど、そこは金本監督、掛布2軍監督そしてコーチを信頼して取り組んでほしい。金本さん、掛布さんは信頼して間違いのない方々ですから」

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