藤浪泣いた…他力CS祈るしかない
「阪神0-6広島」(4日、甲子園球場)
若きエースが沈んだ。勝ちか引き分けでCS進出が決まる一戦で、阪神・藤浪晋太郎投手(21)が5回4失点降板。打線も沈黙し、レギュラーシーズンを70勝71敗2分けの借金1で終えた。右腕は試合後に行われた関本賢太郎内野手(37)の現役引退セレモニーで、涙を流した。CS進出は4位・広島が7日・中日戦(マツダ)で敗れるか、引き分けることが条件。虎が崖っぷちに立たされた。
藤浪の瞳の奥は潤んでいた。試合後に行われた関本の引退セレモニー。ベテランと握手を交わし、惜別の言葉にうなずくと、自然な感情があふれ出した。
「関本さんにはお世話になりましたし、野球でもプライベートでもすごくよくしてもらったので…。そういう選手の引退というのはすごくさみしいです」
レギュラーシーズン143試合目。さまざまな重圧を背負い、マウンドに立っていた。勝つか引き分けでCS進出が決定。自身も最多勝獲得の可能性を残していた。さらに今季限りで退任する和田監督、現役引退を決めた関本にとっては、最後の試合になるかもしれなかった。
「球の走りも決して良くない中で、打たれたボールもすごく甘い球というわけじゃないけど、ボール1個分、ボール半個分、甘かったのかなと思います」
スコアボードに重い4点が刻まれた。0-0の四回だ。先頭菊池に安打されると、今季ここまで9打数5安打と苦手の松山に、痛恨の2ランを浴びた。これだけでは済まない。2死後、四球に失策が絡み傷口を広げると、石原の打球は右前へ。右太ももに痛みを抱える福留の必死の一塁送球も間一髪、及ばなかった。
「あと1イニング、節目の15勝まであと1つ、勝てなかったのは自分自身に何か1つ、足りないということだと思います。勝ちきれない、取りこぼした試合が多かった。もっともっとできたと思う」
5回を投げ、5安打4失点。年間200イニングにわずか1イニング届かず、今季15勝目を逃した。チームにとっても、痛恨の黒星だ。7日に広島が勝つと、虎の3年連続CS進出は幻と消える。
「広島の結果次第ですが、万全の準備をしたい。しっかり調整したいと思います」
試合後、ショックは計り知れないが、藤浪は懸命に前を向いた。14勝7敗、防御率2・40の成績を残したプロ3年目。めざましい飛躍を遂げたが、最後に大仕事をやり残した。まだ終わっていない。リベンジの機会が来ると信じて待つだけだ。