能見粘投7回2失点で江越V打呼び込む

 「中日2-3阪神」(29日、ナゴド)

 余力で腕を振り下ろした96球目。マートンがイージーな飛球を捕球すると、阪神・能見は珍しく気持ちを吐き出した。迎えた最後のピンチは同点の七回2死二塁だ。ここまで被安打は7。スムーズとは言えない道のりだったが、試合を分岐する局面で直球を外角低めに投げきり、苦手大島を左飛に仕留めた。喜怒哀楽を表さないエースがグラブを強くたたいたのは無意識だろう。

 「チームが勝ったので良かったです。ランナーもいっぱい出たけれど、まあ、粘り強く投げられたので…」

 自身3連勝がかかった赤土のマウンドで7回2失点。八回から安藤に託し、勝ち負けはつかなかったが、こん身の「粘り」が江越の決勝打を呼び込んだ。ナゴヤドームでは12年9月以来白星から遠ざかり、13年4月から3連敗中だった。今季中日戦はこの試合前まで2戦2敗で防御率4・26。負のスパイラルを拭うべく、鬼門で4本柱の存在感を示した。

 四回は自らの暴投で追い付かれ、エルナンデスに勝ち越し打を許した。三回の攻撃で犠打を決められなかったことも自らの首を絞めた。通算対戦打率・375の大島を封じることがキーであったことは間違いないが、防げるミスを防いでいれば女神はほほ笑んだはずだ。またそれを一番自覚しているのは、能見本人なのだ。

 7月14日の広島戦で6勝目を挙げた際、先制打のマートンが能見に謝罪した。「これまで僕らが援護できず、ゴメンナサイ…」。だが左腕は翌日、首を横に振った。

 「そんなことはまったくない。3点も4点も取られたり…失点するオレが悪いんだよ」

 8勝目はお預けになった。それでも和田監督は「2点目以降抑えたことが同点、逆転につながった」とねぎらいの賛辞を贈った。エースの称号は能見が携えている。てっぺんを見据える盛夏に36歳が意地を見せるはずだ。

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