藤浪三回ひょう変…ワースト7失点KO

 「阪神3-8広島」(8日、甲子園)

 無類の強さを誇る聖地で阪神・藤浪晋太郎投手(21)が壮絶に散った。プロ入りワーストの5回8安打7失点KO。初回に自己最速、球団史上最速となる158キロを記録したが、三回以降に突如急変し、課題の左打者に痛打を浴び続けた。2日の巨人戦(東京ドーム)に続いて、またしても藤浪がチームの連勝を止めた

 まるで癖を見抜かれたように、次々とバットの芯で捉えられた。三回、突然、藤浪が乱れた。無死一塁からバントを処理した梅野が二塁へ悪送球し、傷口が広がる。ここで藤浪はギアチェンジして、丸、新井を連続三振。あと、1死だった。

 ところが前回の対戦で2安打された松山に先制適時打を許すと、満塁から木村昇に押し出し四球。さらに会沢に走者一掃二塁打を浴びた。続く四回も丸に2ランを被弾。五回からセットポジションのグラブの位置をベルト付近から胸元へ変更し修正を図ったが、すでに勝敗は決していた。

 「癖のことはなかなか言えないですけど、そういうことを考えつつ変えてみようと思いました。(三回は)狙い球を絞られた。状態はこの前に近いぐらい良かった。でも自分自身の四球や、失策、長打が絡むと大量失点になってしまう」

 初回、明るさの残る甲子園がドッと沸いた。2番菊池への3球目だった。155キロ、157キロで追い込むと、最後は真ん中低めへ、158キロ。自己最速157キロを1キロ更新し球団史上最速をマークした。

 「(スピード)ガンもそうですし、スピードに手応えは悪くなかった。はじき返されたのはコースが甘いからしっかり振られたのだと思います」

 3年目の覚醒へ、殻を破ったはずだった。前回2日・巨人戦は8回1失点で完投負けしたが球数わずか99球。オフから取り組んできた「脱力」に一定の手応えをつかんでいた。

 「何かを変えたわけじゃないんです。『リリースを前にしよう』と思って投げました」。それは本人しか分からない投手独特の感覚だという。前日は「今後も続けられるように」と話していたが…。

 5回8安打自己ワースト7失点(自責2)で4敗目。和田監督は「一本調子になってスピード差がなかった」と指摘する。シーズン初登板の勝利から、6試合の足踏みだ。「しっかり考えて次までに何とかしたい」と藤浪は懸命に前を向いた。ファンへ夢は届けたが自身が直面している現実はもどかしい。

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