福留ダ~ン!打ったら必勝6号V撃

 「阪神5‐0広島」(14日、甲子園)

 高々と、力強く右拳を突き上げた。9月の急失速、前日の17失点、この日の0行進…。阪神・福留が爆発しそうなイライラを、一振りで吹き飛ばした。

 「ずっと点を取れていなかったし、きのうはああいう負け方をした。前の打席(四回2死二塁)はチャンスで打てていなかったし、何とかしたかった」

 0‐0の七回1死。浜風がやんだ。「前の回に守備の時に風が変わったのは気づいていた。速いボールに合わせていた」。カウント2ボール1ストライク。中田の直球に狙いを定め、真ん中に入った失投を完璧に捉えた。

 緩やかな放物線を描いた打球は、長い滞空時間をかけて右翼席に到達。「今シーズン打った中でもいい手応えだった」。決勝の6号ソロ。8月21日の中日戦以来、自身17試合ぶりの一発で勝利への流れを加速させた。

 今季は3月30日の巨人戦の守備で、西岡と交錯して胸部を打撲。負傷は打撃にも影響を及ぼした。現状を打破するために、技術面でもメンタル面でも変化を求め続けた。

 5月23日のソフトバンク戦は、珍しく新井良のバットを借りた。6月7日のオリックス戦からは、甲子園での登場曲を洋楽に変更。6月中旬の2軍調整中は、オープンスタンス気味で少し足を上げる打撃フォームに変えた。試行錯誤の末、最近10試合は打率・345。CS進出への正念場で状態を上げている。

 リーグ優勝は絶望的だが、まだ14試合を残している。メッセンジャー、西岡と上がったお立ち台では、呼びかけるように言った。「選手は誰も諦めていない。最後まで目いっぱいプレーしたい」。今季、本塁打を放った試合は6戦6勝。幾多の修羅場をくぐり抜けたベテランが、再びファンに歓喜をもたらす。

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