新助っ人「成功の目安」は打率と三振率

 阪神タイガースの新外国人選手として、来季からマウロ・ゴメス内野手が加入することが決まった。ゴメスは今季、ブルージェイズ傘下3Aで110試合に出場。打率・249ながら29本塁打、73打点を挙げた。3Aで3年連続20本塁打を記録したドミニカ共和国出身の大砲だ。

 早くも来季の4番候補として期待されているが、なかなか計算通りにはいかないのが外国人補強だ。今季、新入団したコンラッドも4番候補だったが、結果は打点0のまま1年限りで解雇となった。

 阪神の助っ人野手で、他の国内球団からの移籍を除く近年の成功例といえばマートンだ。来日1年目の2010年にプロ野球新記録となるシーズン214安打をマーク。今季は来日3度目となる最多安打のタイトルを獲得した。

 他球団に目を移せば、今季、史上最多のシーズン60本塁打を記録したヤクルトのバレンティンが一番の成功例。今オフは、長打力のある助っ人を求める各球団が“第2のバレンティン”発掘に力を注いできた。

 外国人選手について楽天・星野監督は「宝くじのようなもの。当たるかどうかは分からないが、買わないと当たらない」と常々話している。しかし、比較的当たりを引く球団はある。

 阪神はといえば、野手に関してはメンチ、キンケード、フォード…らの名前を挙げるまでもなく「高確率で当てている」とは言えないのは確かだ。それだけにファンも「今年の助っ人は大丈夫なのか?」と厳しい目で見るようになってきた。ちなみにマートンは、かつての優良助っ人シーツが駐米スカウトとして強く推薦した選手だった。

 ではどんな外国人野手が成功するのか。環境への順応性や性格などは昔から言われることだが、数字上にもいくつかの法則が存在するという。長年、日米の野球界に携わってきたある米球界関係者は、こう証言する。

 「メジャーでの成績はあまり参考にならない。注目すべきは来日前年の3Aの成績だ」

 主なポイントは三振数と打率の2点。三振の数が5打数で1個以下、多くても4打数で1個以下であり、なおかつ打率・280以上が成功の目安だという。たとえ本塁打が多くても三振が多く、打率が低い打者は獲得に際して注意が必要というわけだ。

 「ブレークする直前の選手を見極められるかどうかが、スカウトの腕の見せどころ」。同関係者によれば、日本で成功する外国人選手は、仮にその年に来日していなかったとしても、メジャーでブレークしていた可能性があるという。日本の球団が獲得を見送った外国人選手が、翌年にメジャーで大活躍するなんてことも珍しくはない。

 いつブレークするかの見極めはもちろん難しいが、比較的簡単な方法が一つあるという。台湾や韓国で成功している外国人選手を調査することだ。彼らはブレーク寸前で韓国や台湾に渡って、既にブレーク済み。全員が日本球界で成功するわけではないが、ウッズやカブレラ、グライシンガーらは来日して期待以上の結果を残した。

 さて、虎の新助っ人ゴメスはどうなのか。今季3Aでは29本塁打を放っているが405打数で131三振、打率・249。およそ3打数に1回の割合で三振を喫している。

 マートンはどうだったのか。来日前年の2009年、3Aでは373打数で52三振、打率・324。およそ7打数で1回の三振数だ。バレンティンの来日前年2010年は3Aで401打数85三振、打率・282。4打数か5打数で1回の三振という計算になる。法則に当てはめれば、成功のニオイはプンプンしていたわけだ。

 だからゴメスはだめだろう、とは言わない。2011、12年の3Aの成績を見てみると2年連続で24本塁打を放ち、打率3割をキープ。12年は三振も4打数以上に1回の割合だ。今季を除けばマイナーの成績がバレンティンに近い。これがブレーク寸前の前触れなのかどうか…。人気球団の助っ人、しかも4番候補だけに注目度は高い。「宝くじ」が当たるかどうかは、チームの浮沈にもかかわってくる。

(デイリースポーツ・岩田卓士)

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