森田5安打4打点!侍・松田手本に爆発

 「オープン戦、阪神13-5中日」(5日、鳴門)

 阪神・和田監督がいたずらっぽく笑っていた。試合後の囲み会見。殊勲者について問われると、目尻を下げながら、微妙な言い回しでたたえた。

 「こいつは褒めたらあかんタイプだけどな…ナイスバッティングだね」

 森田が5打数5安打4打点。ここまで出場した練習試合、オープン戦、計10試合で12打数2安打と結果に見放されていた大砲候補が、オープン戦初スタメンで奮起した。

 「シーズンでは、しょっちゅう試合に出られるわけじゃない。1打席目から勝負だと思っていた。ランナーがいたので、高めの甘い球は積極的にいこうと思っていた。仕留められて良かった」

 二回無死一、三塁の好機で巡った第1打席。昨季ブレークした右腕岩田のスライダーを餌食にした。芯でとらえた大飛球は右中間最深部のフェンスを直撃。特大の同点二塁打で、阿波の猛虎党を沸かせた。

 四回の第2打席は先頭で左前へ運ぶと、打者一巡で巡った1死満塁の場面では外角球を逆らわずに左へ。1イニング2安打で猛打賞を記録すると、猛打はとまらない。さらに六回。横手投げ左腕の小林正を苦にせず左前へはじき返し、八回は「力まずセンター返しを狙って」と、昨季ウエスタンリーグセーブ王の小熊から、5本目の安打を放った。

 実戦で唯一出場しなかった侍ジャパンとの強化試合(京セラD)後、久慈守備走塁コーチからヒントを得た。ポイントを前に置くスタイルで好結果につなげていた日本代表・松田(ソフトバンク)の打席を参考にするよう同コーチから薦められ、「きょうも、シンプルに、ポイントを前に打つように心掛けた」という。

 大砲の肩書きに恥じない打撃。そして、中堅から左へ相手の攻めに応じて多彩な技術も披露した。素質は誰も疑わない。指揮官が「褒めたらあかん」と危惧(きぐ)するのは精神面か。単発の好結果で持ち上げない…和田監督はそう心に決めていたようだが、鳴門ではじけた結果は非の打ち所がない。この日のように「森田の日」が続けば、周囲は黙って納得する。

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