植田、故郷熊本に届けた流血奮闘

 「サッカー・国際親善試合、U-23日本3-0ガーナ」(11日、鳥栖ベストアメニティスタジアム)

 リオデジャネイロ五輪に出場する男子のU-23日本代表は3-0でガーナ代表に快勝した。熊本県宇土市出身のDF植田直通(21)=鹿島=はキャプテンマークをつけて奮闘。熊本地震の慈善試合として行われた一戦を勝利に導いた。日本は五輪1次リーグB組初戦のナイジェリア戦を想定したアフリカ勢との試合を制し、本番に向けて弾みをつけた。

 傷ついた故郷へありったけの思いを届けた。熊本地震の慈善試合となった特別な一戦。手倉森監督から指名され左腕にキャプテンマークを巻いた熊本県宇土市出身の植田は「熊本県民は僕だけだったので戦う姿勢を見せたかった。勝利という結果を届けられてよかった」と素直な思いを口にした。

 試合後のロッカールームでは「熊本のためにありがとう」と仲間に頭を下げた。「県民を代表してお礼を言わせてもらった」。主将の重責を預けた指揮官も「いいリーダーシップを発揮してくれた」と手放しで称えた。

 試合会場には植田の父太実男さん(53)、母俊子さん(52)ら家族や親戚が駆け付けた。自宅は無事だったが震災直後は車中泊を余儀なくされた。家族は現在自宅に戻っているが、地震の恐怖から今も寝室ではなく玄関に一番近い部屋で全員で寝ているという。

 先月18日に植田らが熊本を訪れ支援活動を行った際には、水や肉、パン、トイレットペーパーなどが届けられた。試合に向けて特別な会話は交わさなかったという太実男さんは「会わなくても気持ちは伝わる。試合に出してもらい、監督の気持ちに応えられてよかった」と胸をなで下ろし、俊子さんも「本当に頼もしかったです」と、息子の姿をまぶしそうに見つめた。

 矢島の2得点などで前半のうちに3点を奪った。植田も体を張った守備で無失点勝利に貢献。「DFとしては良かったが、前半の勢いを続けられない課題も残った」と振り返った。終盤には相手選手との接触で右まぶた上から出血。応急処置で8~9針ほど縫ったが、「大したことない。慣れている」と意に介さなかった、

 試合後には場内を一周しながら「久しぶりに会った人の顔を見て安心した」。高校の同級生で佐賀大に通うボランティアスタッフと記念撮影も行うなど旧交も温めた。熊本への思いを形にし、スタンドから起こった大きな植田コールに誇らしげに手を挙げた。

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