興毅 10カウント遮り“引退宣言撤回”「ロマゴンとやれたら完全引退します」
ボクシングの元世界3階級制覇王者の亀田興毅(31)=協栄=が5日、後楽園ホールで引退試合と銘打ってスパーリングに臨み、プロ初黒星を喫した元WBC世界フライ級王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(40)=タイ=に2回12秒TKO(参考記録)で“リベンジ勝利”した。その後「どうしてもローマン・ゴンサレス(ニカラグア)とやりたい」とテンカウントのゴングを止めて現役続行を宣言。元4階級制覇王者との対戦を熱望した。
引退セレモニーのテンカウントの5つ目で「ちょっと待って」と興毅がゴングを止めた。「僕はずっと2人戦いたい相手がいると言ってきた。軽量級で一番強いパウンド・フォー・パウンド。ローマン・ゴンサレスとどうしても拳を交えたい」。4階級制覇のニカラグアの英雄の名を挙げ「自分にウソはつけない。ロマゴンとやれたら完全引退します」と、もう1試合限定で現役続行を希望した。
復活をかけた試合だった。父史郎さんを先頭にした亀田トレインで入場。2回に右からのワンツーで名王者をキャンバスに沈めた。「初黒星ですべての歯車が狂った。悔いが残っていた」。8年前のポンサクレック戦での敗戦は、父のライセンス剥奪の誘因となった。試合後「どんなもんじゃい!」と、現役時代におなじみの雄たけびを上げ、これで幕引きだと誰もが思った。
「今回、新しいトレーニングを取り入れて自分が強くなった。3カ月半でパンチが強くなった」と手応えを語った興毅。今回はバンタム級設定だったが、ロマゴンはスーパーフライ級を主戦場にしており「きついけど合わせます」と意思は固い。陣営の金平桂一郎会長は「交渉に入る」と前向きに語ったが、世界ランク入りもしていないだけに、いばらの道になりそうだ。