【ライフ】「鬼軍曹」山本小鉄さんとの新聞談義を振り返る
7年前、2009年の冬だった。当時、プロレス担当だった記者は、新日本プロレスの会場で、山本小鉄さんとなぜか新聞談義になった。
プロレスのレフェリーであり鬼コーチであり名解説者だった山本さんは当時、夫人の母校である上智大学の聴講生として、各授業に出席していた。いかつい風貌に似合わない勉強熱心さや、礼儀正しい言葉づかいを聞き、自分を恥ずかしく感じたのを今でも覚えている。
山本さんはスポーツ紙はもちろん、一般紙も熱心に読んでいた。苦情は活字の大きさだった。「字が小さくて読みにくい。老眼鏡をかけなくても読みやすい大きさにならないものか」と話していた。
ただ、新聞の活字は昔に比べて格段に大きくなっている。山本さんが亡くなられた2010年以降も拡大化されているが、30年前から10年ごとにデイリースポーツ1面の紙面構造を以下にまとめた。1紙面が15段で構成されているのは変わっていない。
▽16年12月1日 1面〈福留若虎教育係〉1段10字76行(15×10×76=11400字が単純計算で1つの面に収容できる)
▽06年12月1日〈ジェフ残留、来季もJFK〉1段11字82行(15×11×82=13530字収容)
▽96年12月1日〈虎、落合獲得断念〉1段13字88行(15×13×88=17160字収容)
▽86年12月1日〈巨人OBは「落合獲るな」〉1段13字90行(15×13×90=17550字収容)
以上、この30年間で活字は大きくなり、行間も広がった。読みやすさという点では随分と改良されている。
一方、86年に比べて1紙面あたりの収容量が約35%減った分、以前は取り上げていたスポーツが割愛されたり、1本の原稿の内容が簡潔になっている。
活字が大きくなるとその分だけ情報量が減ってしまう、と記者が指摘したことに対し、山本さんは「新聞はいろんな情報が一覧できるのがいいところ。情報量を落としてはならない」と返答。その上で「活字を大きくして、ページ数も増やせばいいでしょう」と話していた。
収益の問題があり、簡単にはページ数を増やすことはできないのが現状だ。一方で、ネット分野は各新聞社が強化を進めている。紙面に掲載されないネット原稿(まさにこの原稿です)は膨大な量になっている。
山本さんは10年8月に68歳で亡くなられている。もし健在だったならば、今の新聞状況にどのような感想を持っていただろうか。(デイリースポーツ・山本鋼平)





