【サッカー】クラブW杯、注目したいのは個人レベルで「守備戦術」

 Jリーグ王者・鹿島が開催国枠で出場するクラブW杯は、8日に開幕する。各大陸の大会を制したクラブチームが参戦する大会だが、スーパースターたちの華麗なプレー以外にも、見どころは多いと思う。

 個人的に注目したいのは、やはり個人レベルでの「守備戦術」だろうか。日本代表を率いるバヒド・ハリルホジッチ監督が何度も口にするデュエルの部分もそうだが、同じく指揮官が常に代表選手に説いている「守備の寄せ」にも注目をしたい。ハリルホジッチ監督は、日本代表の選手たちに「守備時には、相手の1メートル以内ではなく50センチ以内まで体を寄せろ」と要求している。フィジカルやテクニックに優れた選手と対峙(たいじ)する際、相手に少しでも自由な空間を与えると、一瞬にして危機的状況が生まれかねないためだ。

 これに加えて指揮官が提唱しているのが、ボールを失った直後の対応だ。Jリーグの視察を繰り返してきて「ボールを失った後に、すぐに奪いにいくチームが少ない。Jリーグのチームは、ボールを失うとまず(後方に)引いてブロックを組むことが多い」と指摘する指揮官。それだけに代表チームでは、攻撃から守備への速い切り替えと共に、ボールを失った地点に近い選手には、即座に相手を囲い込みボールを再奪取する戦術を志向している。戦術の“空間”と共に“時間”という意味でも、相手を封じることを求めていることになる。

 14年のブラジルW杯後、次の大会となる18年のロシア大会に向けたアジア予選の規定が変わった。W杯予選そのものの試合数が増えたことで、緊張感の高い試合が期待される一方で、アジア勢以外との対戦は減っている。W杯最終予選の初戦・UAE戦で敗戦を喫したことも手伝い、決して甘くないアジアでの戦いを突破することに注力しているが、選手や指揮官、そして周囲が目を向ける最終目標はW杯本大会での躍進だろう。

 その意味では、各大陸のクラブ王者が集うクラブW杯は、有用な“見本市”ともなる。各大陸別に外国籍選手の出場規定が異なるだけに、代表チームとの相似という面では完璧とは言えないが、各大陸のカップ戦を制したクラブに対して、日本人はどう戦っていくべきなのか、という指針を考えるきっかけにもなり得るからだ。

 欧州王者であるレアルマドリード(スペイン)が誇る『BBC』の破壊力や、南米王者であるアトレチコ・ナシオナル(コロンビア)の激しいプレーなど、派手な見どころも多いクラブW杯だが、ちょっと“地味”だが重要なポイントにも視野を広げれば、生観戦かテレビ観戦とは問わず、大いに見どころが増えることになる。(デイリースポーツ・松落大樹)

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