【競馬】今年も誰かの「最強世代」に

 「最強世代」とは!?

 あらゆるスポーツでよく話題になるテーマだろう。野球なら松坂世代や田中将大投手らがいるマー君世代、サッカーなら小野伸二選手らがいる99年ワールドユース準優勝の黄金世代がその代表か。競馬で言えば、私自身は“98年誕生組”が真っ先に挙がる。01年クラシックを戦ったアグネスタキオン、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、クロフネがいる世代だ。

 その主役の1頭・アグネスタキオンを管理していた長浜博之調教師。今週末に行われる日本ダービーに、京都新聞杯2着のアグネスフォルテで挑むが、「今年の3歳(牡馬)は強い」と冷静にジャッジしていた。その言葉が、私が世代間のレベルを考えるきっかけになった。

 ひとつの指針として、レースの走破タイムがある。「皐月賞をあの時計で走っていますしね。今年の王道路線を歩んできた馬は強いですよ」と敬意を表したのは、かつてクロフネを管理し、今年は重賞3勝馬スマートオーディンで競馬の祭典に臨む松田国英調教師だ。ディーマジェスティの勝ち時計1分57秒9はレースレコード。これまで、どの世代もマークしていないタイムで走った事実は評価に値する。

 一方で毎年、馬場状態や天候が異なる点も無視はできない。走破時計だけを物差しに、今年のクラシック組が歴代最強世代と断じるのは少し乱暴な気がする。直接対決ができれば一番分かりやすいのだが、この世に生を受けた時代が異なるため、全盛期同士で戦うのは不可能。実はこの“最強世代論争”は、永遠に答えが出ないテーマなのかもしれない。

 先ほど私にとっての最強世代は“98年誕生組”と記したが、人によってはエルコンドルパサー、スペシャルウィーク、グラスワンダー、セイウンスカイがいた“95年誕生組”かも。無論、ほかの世代という人もいるはずだ。おそらく全てが正解。そして、はっきりと間違いないと言い切れるのは、今年の“13年誕生組”も、誰かにとっての『私の最強世代』となり得る素質馬ぞろいということだ。

 ちなみに、前述した長浜師は来年2月末で定年で、ダービー参戦は今年で最後。「相手は強いが、使わないと勝てないからな」と話していたこともつけ加えたい。一方、松田師も「ダービーを勝ちたいと思い、それに向けてやってきました」と現役調教師最多2勝を誇るトレーナーは、3勝目に向けて意欲を隠さない。レベルの高い世代と思うからこそ、勝つためにより入念に調整し、懸命に策を練って挑むのだろう。

 13年産のサラブレッド6913頭の頂点を決める競馬の祭典は、29日に東京競馬場で開催される。陣営がこん身の仕上げを施した各馬の熱い戦いぶり、ジョッキーや名将たちが打つ勝負手をしっかりと自らの目に焼き付けたい。レース後、『私の最強世代』が変わっているかも、という淡い期待とともに-。(デイリースポーツ・大西修平)

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