【スポーツ】大相撲&ボクシングに新星

 未来へ無限の可能性を秘めた若い力の素晴らしさを改めて知らされた気がする。

 10月3日、大相撲の元小結旭道山の甥(おい)で、幕内格行司・木村寿之介の次男である波田大和(はた・やまと)=帝拳=が、後楽園ホールで行われたプロデビュー戦(スーパーフェザー級4回戦)でムアンポン・NPボクシングジム(タイ)に2回KO勝ちして勝利を飾った。

 出だしはガチガチに硬さが目立った波田だったが、2回に入ると肩の力が抜けて本来のスピードとバネを発揮してパンチを繰り出す。そして2分過ぎに左から右につないで最初のダウン。何とか立ち上がったもののダメージを受けた相手にラッシュをかけて2度目のダウンを奪い、文句なしの内容で鮮やかな白星をつかみ取った。

 試合後はリングサイドで観戦した木村寿之介、旭道山さん、さらに旭道山さんの現役時代の師匠である先代大島親方(元大関旭国)の太田武雄さんから祝福を受けた18歳。「緊張しましたがKO勝ちできてうれしいです。こんなにたくさんの人に応援してもらって本当に恵まれています」と声を弾ませた。

 小学3年から中学までは野球、キックボクシングの経験もあるそうだが、花咲徳栄高でボクシングを始め、インターハイと国体で準優勝(ライト級)の実績がある。叔父の旭道山さん譲りの躍動感あふれる筋肉から繰り出すパンチは破壊力十分。得意の左ストレートも何度かヒットさせて、「手応えがありました」と笑顔をのぞかせた。当面の目標は来年の新人王になりそうだ。

 旭道山さんは「最初はドキドキだったけど、自分の新弟子時代を思い出して試合途中からウルウルしていた。まだ蔵前国技館だったからね」と感激の表情。自身も現役時代は体の硬さに苦労したためか、「あのガチガチぶりはウチの家の伝統だね。これからはしなやかな体を作って、プレッシャーに負けないで頑張ってほしい」とエールを送った。

 旭道山さんといえば、100キロそこそこの体重で巨漢力士を何度も張り手でノックアウトして“南海のハブ”の異名を取った。そのDNAを受け継ぐヤマトから、これからも目が離せない。

 6日には大相撲の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男で埼玉栄高3年の鎌谷将且(かまたに・まさかつ)が、父が師匠を務める佐渡ケ嶽部屋への入門を発表した。九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)で初土俵を踏む予定で、28日に福岡市内である新弟子検査を受検することになる。

 父は琴ノ若、母方の祖父は元横綱琴桜の先代佐渡ケ嶽親方でもある故鎌谷紀雄氏。期待のサラブレッドが、いよいよ大相撲界に飛び込む。「プロの世界は厳しいので気を引き締めてやっていきたい。地道に番付を上げて1日でも早く関取になりたい」とキリリとした表情で決意を示した。

 これまでは親子だったが、これからは師匠と弟子となる。ついにプロ入りの日を迎えて、父であり師匠でもある佐渡ケ嶽親方は「私の中では気持ちは切り替わっている。他の弟子と同じように厳しく育てていきます」と言い切った。

 まずは初土俵からは琴鎌谷のしこ名で上がり、三段目に入れば父のしこ名である琴ノ若を継承する予定。さらに大関に昇進すれば、偉大な祖父のしこ名である琴桜を襲名する意向だ。

 父の大関貴ノ花に入門して兄弟横綱まで上り詰めた若乃花(3代目)、貴乃花兄弟。3兄弟がすべて関取に昇進した井筒親子、さらに栃東親子など、大相撲界には一世を風靡(ふうび)した親子鷹が少なくない。それでも3代にわたって関取になるのは、かなり珍しい。

 祖父、父の後を継ぐという大きな重圧を背負うことになるが、「自分は自分。あまり気にせずにやります」と17歳とは思えないほど頼もしいコメント。187センチ、150キロの堂々たる体格。どこまで番付を上げてくるか、人気沸騰の角界に、またひとつ楽しみが増えた。

(デイリースポーツ・北島稔大)

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