ハム通訳の野茂貴裕氏は父譲りの情熱家

 日本球界、メジャーで活躍した野茂英雄氏(47)の長男、貴裕氏(23)が、今年から日本ハムの外国人選手の通訳を務めている。

 昨年まで米国サンフランシスコの大学に通っていた貴裕氏は球団通訳の試験に合格。1月から現職に就いた。4月には札幌ドームのお立ち台でのヒーローインタビューの通訳も経験した。「3万人、4万人の方の前で、緊張で足が震えました。眠れなかったです。去年まで観客席にいた自分がグラウンドにいるなんて。野球に携われる仕事に就けるなんて幸せですよね」。日常の業務に日々、新鮮な気持ちで取り組んでいる。

 感動する体験もしたが、もちろん、楽しい業務ばかりではない。外国人選手に何か問題が起これば、すぐさま飛んでいく。プライベートでも仕事が入り、キャンセルすることがしばしばある。来日した家族の世話、体調不良を訴えれば付き添ったりもする。早朝から深夜まで気は張り詰めている。「全てが大変ですね。(先輩通訳の)水原さんに助けてもらっています」と、先輩に頼ることもある。

 それでも仕事を苦に感じたことはない。野球が好きで、野球に携わる仕事をしたかったから球団の試験を受けた。「好きな仕事ができているので」。父親譲りの野球好きで、天職と思いながら仕事に取り組んでいる。

 子どものころは父親が偉大過ぎて、苦労することも多かった。父親の背中を見てきた貴裕氏は子どものころから野球が好きだった。幼少のころからプラスチックバットとカラーボールで野球を楽しみ、父親とキャッチボールもし、野球に溶け込んでいった。

 都内のインターナショナルスクールに通っていた貴裕氏は英雄氏のようにプロ入りする逸材までにはならなかったが、決してヘタだったわけではない。ただ、父が偉大すぎて少々上手な程度では周囲から認められない。「野茂の息子があれくらいなのって言われた時は嫌な気持ちになったこともありました」と振り返る。それでも父のように野球に携われる仕事に就けたら、との念願が叶い、今は充実した日々を過ごす。

 だからこそ、親身になって外国人の世話ができ、今では頼られる通訳になった。今季から日本ハムに新加入したレアードから食事に誘われることもある貴裕氏は、リラックスさせることを心がけている。新助っ人は夏場以降、アーチを量産。今や中田に次ぐチーム2位の27本塁打(9月8日・ソフトバンク戦終了時点)を放つ、長距離砲として活躍するまでになった。

 「活躍してくれた時は本当にうれしいです。チームが勝った時が一番うれしい」。野球の実力は父親の遺伝子を生かすまでにはならなかったが、父親譲りの野球への情熱で、裏方としてチームを支える。

(デイリースポーツ・水足丈夫)

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