ニッポン・バンタム黄金時代

 ボクシングのバンタム級といえば、日本人にとってなじみの深いクラスだ。65年にファイティング原田が最初のベルトを巻いて以来、辰吉丈一郎、薬師寺保栄、長谷川穂積-歴史に名を残すスターが生まれた。『あしたのジョー』の矢吹丈もバンタム級だった。

 このバンタム級に日本人旋風の予感だ。WBC王座を8度防衛中の「神の左」山中慎介(32)=帝拳=に続けと、実力派日本人ボクサーが拳を研ぎ、世界を狙っている。

 前東洋太平洋王者(返上)の岩佐亮佑(25)=セレス=が日本時間6月14日に英国でリー・ハスキンス(31)=英国=とIBF世界バンタム級暫定王座決定戦を行う。勝者は正規王者昇格の可能性が高い。

 日本時間10日にWBA王座挑戦に失敗した亀田和毅(23)=亀田=は僅差の判定負けに納得せず試合直後に再戦を要求し、早くも内定したという。また、和毅が返上したWBO王座決定戦を同1位の赤穂亮(28)=横浜光=と2位のプンルアン・ソーシンユー(27)=タイ=が行うことも発表されている。今後主要4団体のバンタム級王座を日本人が独占する可能性は十分にある。

 若手では東洋太平洋スーパーフライ級王座を返上してバンタム級に転向した松本亮(21)=大橋=や4月に日本王者になった大森将平(22)=ウォズ=の有力株が、虎視眈々と上を目指している。

 その先にあるのは日本人同士の統一戦だろう。頂点に立つ山中は「正直言って日本人とやりたいと思わない。ファンが望むなら別ですが」と言う。岩佐は「だれが世界一か分からない。僕がチャンプになったら防衛戦より統一戦を優先したい」と、挑む立場で最強王者決定戦を主張する。

 日本人選手が生き残りをかけて戦うバンタム戦線は、加熱する一方。彼らは、スリリングで迫力満点のボクシングを見せてくれるはずだ。

(デイリースポーツ・津舟哲也)

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