「天皇の料理番」W佐藤カレー伝説とは

「天皇の料理番」の制作発表会見に登場した佐藤蛾次郎(後列中央)=4月20日、東京・学士会館
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 映画「男はつらいよ」シリーズで知られる俳優・佐藤蛾次郎(70)が、TBS60周年特別企画として製作された連続ドラマ「天皇の料理番」(26日スタート、日曜後9・00)で主演俳優・佐藤健(26)と師弟コンビを組む。古希を迎えたベテランと旬な若手による、時代の越境タッグだが、この“W佐藤”の間には、絆を撮影現場で深めたという“カレー伝説”があった。

 佐藤健(以下、健)の役は宮内省厨司長・秋山篤蔵。若き日の篤蔵がコックとして雇われる西洋料理店「バンザイ軒」の主人・森田仙之介を佐藤蛾次郎(以下、蛾次郎)が演じ、第4~6話に登場。仙之介の妻・梅は高岡早紀(42)が演じる。

 「仙之介は女房とナニしてからでも(外に出て)女を抱きに行くという絶倫なんですよ。これ、会見で言うたらどっと笑っていただいた。『どんなんかな?』って期待されるやん」(蛾次郎)。実際のところはともかく、ここは色気よりも食い気。庶民的な洋食店だけに、日本の“国民食”となったカレーライスの調理シーンや食べる場面が登場する。

 「健(たける)が現場で『カレー大好きなんです』言うて食べとったから、『そんなら俺のカレーはもっとおいしいぞ。食べるか』と現場に持って行った。早紀ちゃんも『蛾次郎さんのカレーが食べたい』と言うてくれて、お昼にみんなで一緒に食べてね。『おいしい、おいしい』って、健は3回も食べた」

 その手作りカレーとは、「男はつらいよ」の撮影現場で蛾次郎が“まかない”として自宅からズンドウ鍋で運んで振る舞った一品。故渥美清さんをはじめ、倍賞千恵子、山田洋次監督らに愛され、ファンの間では“寅さんカレー”として知られる。浅草キッドの玉袋筋太郎はスナック取材を兼ねて東京・銀座にある蛾次郎の店を訪れ、同店で継承されている“伝説のカレー”を、1人の寅さんファンとして感涙にむせびながら食べたという。

 「“寅さん”で生きてんのは(初期からのレギュラーでは)倍賞さん、(前田)吟ちゃんと俺だけ。若いディレクターが現場に来た昔の有名な俳優を知らんなんて時代やけど、『寅さん見てました』って、俺を使ってくれることをうれしいと思ってくれることもあるらしい。こんな風貌やから、今の時代、ちょっと出るだけでインパクトあるらしくて」

 渥美さんが大好きだった、クコの実が入った薬膳カレーを、健が時を越えて食べてくれたことに感慨もある。「健のことは前から(実写版映画)『るろうに剣心』を見て頑張ってるなと親しみを持ってたんよ。ブルーレイ・セットも買うたがな。撮影は楽しかった。健はまじめな子やね」と語る蛾次郎。番宣のため、開始前週の20~24日に5日連続で早朝5時15分からTBSで“天気予報キャスター”を務めるなど、精力的に活動している。

 「大監督になった山田洋次が大阪から引っ張ってくれたから今の俺がある。渥美さんからも勉強させてもろた。俺はワンシーンの男や。出る以上は、何とかインパクトがあるように撮ってもらう」

 新たに始まった70代からの役者道を貫くのは今も“寅さんイズム”。5月10日には鎌倉市の旧松竹大船映画撮影所、市街地一帯で開催される「大船まつり 映画仮装パレード」で、蛾次郎は一般参加者に交じり、法被をはおった寺男・源公に扮(ふん)して“恩返し”の参加を果たす。 (デイリースポーツ・北村泰介)

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