DeNA宜野湾キャンプ名物といえば…

 DeNAの宜野湾キャンプ名物に、行列がある。練習が終わる夕方、球場からホテルまでの間に何列もできる。サインや写真撮影を求めるファン。中畑清監督(61)を筆頭に、選手全員が応じる。その後に予定があるケースなどを除いて、最後の1人までペンを走らせている。

 練習中にファンに声を掛けられた三浦大輔投手(41)は、丁寧にこう答える。「今は練習中だから。練習が終わったら、ここでサインするから」。ブルペンと室内練習場との間にある売店前は、ハマの番長の指定サイン場。今や恒例化したサイン会はファンの間にも知られるようになり、15時過ぎからすでに行列ができるようになった。

 ドラフト1位の山崎康晃投手(22)=亜大=のサインは、人一倍長い。練習後の疲れた体でも丁寧にペンを走らせ、1人1人に頭を深々と下げる。

 「確か野球を始めた年でしたから、小学校2年の時でした。森本稀哲さんにサインをいただいたんです。プロ野球選手からのサイン、すごくうれしかった。自分がプロになって、サインをする相手にも同じ気持ちになってくれたらと思います」。やはり、丁寧な口調で、その理由を説明してくれた。

 宜野湾は確かにサインしやすい環境にある。宿舎が球場に隣接しており、選手は徒歩で移動する。球場と室内練習場、ブルペン間も距離があり、その移動時間帯もファンが声をかけやすい環境にある。他球団は宿舎から球場まで、バスで移動するケースがほとんどで、選手と接するチャンスは少ない。とはいえ、練習後の疲れた体をおして、1時間もの間サインする姿にもプロらしさを感じる。

 今キャンプ中、阪神の練習休日に、ファンが宜野湾を訪れた。阪神の法被を着て、虎マーク入りの色紙を手にサインを求める行列に並んでいた。三浦は「それ、今成(モデルの)の携帯やろ?」とツッコミを入れながら苦笑いしてサインを書く。「宜野座じゃありえへん。ベイ、すごいわー」。サインを手に感激するファンも多くいた。

 DeNAは昨季、3年間で42%の観客動員伸び率を記録した。球団側は、横浜スタジアムの改修や、さまざまなチケット販売、イベント開催などで、幅広いファン層を開拓する営業努力をしている。その一方で監督、選手側が、労をいとわずサインをし続けるような地道なファンサービスが、ファンとの距離感を近くし、新規開拓したファンをつなぎ止め、継続的な真のファンへと成長させるかもしれない。

(デイリースポーツ・鈴木創太)

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