相撲は採用 日本人にビデオ判定は合う
本塁打に関しては「ビデオ判定」が導入されているプロ野球だが、基本的には審判が言うことは絶対だ。ただそれでいいのだろうかと、改めて考え直させるプレーがあった。
4月22日に行われた神宮でのヤクルト対広島戦。六回1死一塁で、堂林の放った打球は高いバウンドで三塁へ飛んだ。これを処理した川端が二塁へ送球。セーフのタイミングだったが、二塁塁審の杉永の判定はアウト。激怒した野村監督が帽子たたきつけて猛抗議し、結局遅延行為で退場となった。
その後のスポーツニュースでの映像ではやはりセーフに見えた。さらに翌日の新聞には、一塁走者の田中が二塁に到達しているのに、送球が二塁ベースカバーの山田のグラブに届いていない写真が掲載された。
完全に“誤審”だった。正しいことを主張したのに制裁金5万円の処分を受けた野村監督は「判定が覆らないのは分かっているけど、引き下がるわけにはいかな。まあ杉永さんも、抗議していたときはばつが悪そうだったけど」と振り返った。
どうやら抗議中は、二塁塁審の杉永も自信を持って「アウト」と主張はしていなかったらしい。それでも一度下した判定は覆らないのが日本のプロ野球。野村監督は「杉永さんもかわいそうだと思うよ。判定を変えることはできないからね。もしビデオとかで『セーフ』と言ってもらえば、ホッとしたんじゃないかな」と逆に同情した。
米国の大リーグでは今季から、審判の判定に異議を申し立ててビデオ判定を要求できるチャレンジ制度を導入された。日本では本塁打に関してのみ、ビデオ判定が行われているが、ハイテク化が進んだ現在、ビデオ判定の幅広い運用が必要なのではないかと思う。
チャレンジ制度導入に賛成派の野村監督が面白いことを言っていた。「日本でも以前からビデオで判定しているスポーツがある。相撲だよ。日本の伝統スポーツがビデオ判定を導入しているのだからね」。そういえばそうだ。老若男女が観戦する相撲に「ビデオ判定はおかしい」と言っているのを聞いたことはない。つまり「日本人にはビデオ判定は合わない」という理屈は合わないということだ。
プロ野球では審判教育に取り組んでいる最中だという。ただ人間には限界がある。機械に判定させるのは面白くないという人もいるかもしれないが、間違った判定で勝敗が決するのは誰も望んでいないはず。細かい問題点はあるかもしれないが、日本でもチャレンジ制度を導入する日が近いと信じている。
(デイリースポーツ・菅藤 学)
