早期の復帰目指すWWEイタミ・ヒデオ

 元ノアのKENTAことWWEのイタミ・ヒデオが先日、7月3、4日のWWE日本公演「WWE Live」のPRで帰国した。WWE所属選手として初の“公式来日”だったが、脱臼して手術した左肩のケガを悔やんだ。患部を黒い器具で固定したイタミは「(メイウェザー戦前に右肩を負傷したマニー)パッキャオも同じようなのをしてた」と明るく振る舞ったが、「さらに…、というところだったんでケガが悔やまれる」と本音を口にした。

 無理もなかった。昨年7月のWWE大阪公演でハルク・ホーガン立ち会いの下、公開契約して渡米。9月にNXTでデビューし、今年3月には年間最大イベント「レッスルマニア」のアンドレ・ザ・ジャイアント杯バトルロイヤルに出場するチャンスをつかんだ。さらなる飛躍を期した矢先だった。

 フロリダ州オーランドのWWEパフォーマンスセンターで英語などを含め、パフォーマンスを学ぶイタミは、同時期にWWE入りしたNXT王者のケビン・オーエンス、プリンス・デヴィットことフィン・バロールが身近なライバルだ。「僕が先に(NXTで)デビューしたのに『あっという間に先を越された』という感覚があるので、レッスルマニアを経て差を縮めて、逆転していきたいときだった。復帰したら、必ず逆転したい」。早期カムバックへの思いを全身からあふれさせた。

 がい旋試合のはずだった日本公演出場は断念となり、「試合したかった」と苦笑した。それでも、大会参加は決まっており、KENTAではなく「最初は違和感がバリバリあった。今は気に入ってる」という“イタミ・ヒデオ”としてのアピールが注目される。

 夢をかなえて海を渡って1年になろうとしている。日米のプロレスの違いを聞かれた際、「一番感じたのは(WWEが)テレビ番組であること。世界中に毎週、配信されている」と応えた。元ノアのエースは、渡米からここまでを「浮き沈みが激しかった。模索してきた」と表現した。ツイッターなどで日本のファンからの期待を感じているだけに、現状に満足はない。

 「自分がしょぼかったら、日本人がしょぼいと思われる。そこら辺は意識しないといけない。王者になって欲しいとか、日本人として誇らしい存在になって欲しいと思われてると思う。(現時点で)そこまで応えられてないので、そういう存在になっていきたい」。

 WWEの殿堂入りを果たし、日本人として誇らしかったという藤波辰爾からは「これだけの規模でやれるのは日本ではない。経験できるのはいいことだし、もっと上に行って欲しい」と激励され、身の引き締まる思いがしたという。

 WWEでトップに近づくことは、ノア時代の恩師で13日に七回忌を迎えた故三沢光晴さんへの“恩返し”にもなる。命日を前にした12日にはツイッターに自身と三沢さんとのリングでのツーショット写真に加え、ハッシュタグに『Never Forget』(決して忘れない)とつけた。「僕を最初にレスラーにしてくれたのは三沢さん。(天国から)見てくれてると思うので、活躍しないといけないと思う」と言い切る。

 HHHやNXTのウィリアム・リーガルGMから「お前はお前のままでいい」と言われ、サポートを受けているイタミは、盛り上がりを見せるNXTで、まずは確固たる地位を築くつもりだ。「最近はフロリダ州だけじゃなく、他の州にも出ていて、すごい盛り上がり。みんながNXTを待ってくれてる。新しい歴史を作っている中で、少しでも何かを担えるのはやりがいを感じる。大きくなる中で、居場所をしっかり見つけて、中心選手にならないといけない」。リングに復帰したときから、高みを目指すイタミの逆襲が始まる。

(デイリースポーツ・大島一郎)

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