２１日に膵臓（すいぞう）がんのため５９歳で亡くなった歌舞伎俳優・坂東三津五郎さんの葬儀・告別式が２５日、東京・青山葬儀所で営まれ、片岡仁左衛門、、中村吉右衛門、松本幸四郎、市川海老蔵、ら歌舞伎界をはじめ、ＳＭＡＰ・木村拓哉、山田洋次監督、真矢みき、檀れいら多くの著名人、一般のファンら約５０００人が参列した。

　映画デビュー作となった０６年公開の「武士の一分」で共演した檀は「何も分からない私に、温かく優しい笑顔で声をかけてくださって。それがうれしくて。心遣いが素敵な方でした」と振り返り、「私も一生懸命精進して、お芝居のできる人間になるので、見守っていてください」と三津五郎さんに語りかけると、こらえきれず、涙を流した。

　昨年８月には歌舞伎を観劇。開演前には楽屋にあいさつに行くと、三津五郎さんは嬉しそうな笑顔で出迎えてくれたという。「開演前なのに話が止まらなくて。私が『お時間ですからそろそろ行きましょう』と言うと、『まあまあ、いいじゃないか』と止められて…」と思い出を語りながら涙ぐんでいた。

　「武士の一分」に主演した木村も最後のお別れに訪れた。沈痛な面持ちで、同作のメガホンをとった山田監督と語り合いながら、会場を後にした。

　葬儀では、三津五郎さんの長男で歌舞伎俳優・坂東巳之助が喪主を務め、尾上菊五郎が弔辞を読んだ。