映画カメラマンで映画監督の大津幸四郎（おおつ・こうしろう）さんが２８日午前０時９分、肺がんのため亡くなった。８０歳。１０月上旬から入院していた。

　渋谷・ユーロスペースで公開中のドキュメンタリー映画「三里塚に生きる」がカメラマンとしても監督しても最後の作品となった。葬儀は親族のみの密葬で行い、後日、送る会を開催する。喪主は長女・大津智美さん。

　大津さんは静岡大学文理学部卒。５８年に岩波映画製作所に入社。５年間撮影助手としてつとめるが、ＰＲ映画に限界を感じ、退社。フリーカメラマンとして独立した。同時期に岩波を退社した小川紳介監督の「日本解放戦線・三里塚の夏」（６８）や、土本典昭監督の「水俣　患者さんとその世界」（７１）などの撮影を担当し、被写体に皮膚感覚で迫る柔軟なカメラワークで注目を浴び、評価を固めた。

　０５年には自ら撮影・構成した作品「大野一雄ひとりごとのように」で監督デビューを果たした。