体操 内村の悲願成就も落下で内心複雑

 男子団体総合で獲得した金メダルを家族に見せ笑顔の内村航平=グラスゴー(共同)
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 「体操・世界選手権、男子団体決勝」(28日、グラスゴー)

 日本(内村航平、田中佑典、加藤凌平、白井健三、萱和磨、早坂尚人)が270・818点で1978年のストラスブール大会以来、37年ぶりの団体金メダルを獲得した。世界大会での団体金は、04年アテネ五輪以来11年ぶり。個人総合5連覇中のエース内村航平(26)=コナミスポーツク=にとっては、悲願の団体初制覇となった。

 エースの気迫に呼応するかのように、日本はロケットスタートを決めた。最初の種目の床でまず内村がほぼ完ぺきな演技で15・800点のハイスコアをマークすると、早坂も安定した演技で続く。そして3人目の床のスペシャリスト、白井が異次元の演技で16・325点をマーク。1種目目で宿敵中国に2・693点差をつけた。

 続くあん馬では初代表の萱がミスのない演技で15・400点を叩き出し、中国を引き離すと、つり輪でも3人がミスなくまとめ、内村は歯を剥いて気合のガッツポーズ。中国と4・093点差で折り返した。

 跳馬では内村が打倒中国のために完成させた大技リ・シャオペンを成功させると、白井も自身の名がつくシライ/キムヒフンを完ぺきに決め得点を伸ばす。平行棒では田中が落下するミスが出たが、その直後に内村が完ぺきな演技でカバーした。

 中国と2・093点差で迎えた最終種目の鉄棒。先に演技した中国の得点が伸び悩む中、加藤がノーミスの演技で勢いをつける。しかし、田中が平行棒に続き落下のミス。予断を許さない状況となった。最終演技者の内村の演技中に地元イギリスが中国を抜き、首位に浮上し、大歓声が響き渡った。そして、内村もG難度カッシーナでまさかの落下。その後は着地までしっかり決めたが、きわどい勝負に-。チーム全員で固唾を飲んで、内村の得点を待っていたが、イギリスを逆転する14・466点が表示されると、全員でガッツポーズ。歓喜を分かち合った。昨年、0・1点差で中国に敗れたリベンジを果たし、16年リオデジャネイロ五輪の前哨戦を制した。

 ただ、最後に落下した内村は、どこか複雑そうな表情。「ミスしてしまったので、勝てなくてもしょうがないと思ってた。これが団体で勝ち慣れていないところかな。団体金をようやく獲ることができたんですけど、内容が伴ってないといけない。結果はうれしいけど、来年に向けて内容をもっと頑張っていきたい」と、リオ五輪に向け、自らにさらなる課題を課した。

 ◆内村と団体戦

 08年北京五輪 04年アテネ五輪に続いて連覇を狙った日本は、エース冨田洋之らアテネ組に内村を加えたメンバーで出場した。しかし、個人総合を制した楊威、各種目のスペシャリストを揃えた中国に、床以外の5種目で上回られ、7・25点差で完敗した。

 10年ロッテルダム世界選手権 アテネ世代が引退し、エースとなった内村を軸に山室光史、田中和仁、植松鉱治、小林研也、中島立貴の6人で臨んだ。中国も若手を中心としたメンバーだったが、床、あん馬でリードしたものの、つり輪以降に日本側にミスが出て、1・228点差で敗れた。

 11年東京世界選手権 田中和仁、佑典が兄弟出場を果たし話題を呼んだ中、自国開催でロンドン五輪の前哨戦に臨んだ。予選で好調だった田中佑が床で頭部を強打するアクシデント。トップ通過したが、暗雲が漂った。決勝では4種目目の跳馬でトップに立ったが、最終種目の鉄棒で田中佑、内村が落下し、2・086点差でまたしても中国に屈した。

 12年ロンドン五輪 内村にとって2度目の五輪だったが、予選から本来の力強い演技が影を潜め、予選のあん馬、鉄棒で落下。新戦力の加藤凌平は奮闘したものの、他の選手も精彩を欠き、まさかの5位通過となった。決勝でも2種目目の跳馬で山室が着地の際に足を負傷するアクシデントもあり、中国に4・045点差で完敗した。

 14年南寧世界選手権 ロンドン五輪組に、床と跳馬で驚異的に力を伸ばしてきた高校生の白井健三らを加えたメンバーで敵地に乗り込んだ。予選は2位通過だったが、決勝では床から内村、加藤、白井の3人が高得点を連発し、ロケットスタートを決めた。その後も安定した演技でリードを保ち、中国に0・991点差をつけ最終種目の鉄棒へ。決勝もミスなく演技を終えたが、ホームの中国に優位に働く得点が連発され、わずか0・1点差で逆転負けした。

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