佐野氏、「国民に受け入れられない」

ヤン・チヒョルトの業績を紹介する展覧会の図録の表紙(左)と2020年東京五輪公式エンブレムのデザイン原案
3枚

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、ベルギーのリエージュ劇場のロゴとの類似が指摘され、同劇場などから国際オリンピック委員会(IOC)が提訴されていた東京五輪のエンブレムの使用停止を決定した。

 同エンブレムはアートディレクターの佐野研二郎氏がデザインしたが、7月24日の発表から“盗用疑惑”が浮上。先月28日に組織委が潔白証明のために公表した原案にも酷似したものが見つかり、この日、森喜朗会長、遠藤利明五輪担当相、舛添要一都知事などが臨時の調整会議を行い、使用停止を決めた。

 この日、佐野氏、審査委員代表を務めた永井一正氏と会談したという武藤敏郎事務総長は「3者一致で取り下げ、新たなエンブレム開発のスタートを切ることで事態解決する判断に至りました」と、説明した。会談に出席した佐野氏は「私のデザインが模倣だから取り下げるということはできない」としながらも「昼夜問わず、色んな誹謗中傷が続いている。デザイナーとして五輪に関わることは夢だったが、今や国民に受け入れられないということで、五輪のイメージに悪影響が及んでしまうことを考えると原作者として取り下げたい」と、白紙撤回に同意したという。

 決定打となったのは、8月28日に組織委員会が行った会見で、公表された佐野氏の原案、そして佐野氏側が制作したエンブレムの展開例として活用した風景デザインにも“パクリ疑惑”が浮上したことだ。原案は13年に東京・銀座で開かれたタイポグラフィの巨匠「ヤン・チヒェルト」の展覧会で使用されたロゴに酷似。展開例で使用した羽田空港や渋谷の背景は別の個人のサイトで公開された写真と酷似していた。これについて、組織委員会は佐野氏側に説明を求めていた。

 佐野氏はチヒェルト氏のロゴについては「展覧会を見に行きましたが、バナーがどういうものかは記憶にない。(エンブレムは)独自に作り上げました」と、“盗用”を否定。展開例については「応募の際の内部資料のために作った。クローズの場ではデザイン世界ではよくあること。公になる時に権利者の了解が必要になるが、それを怠った」と、釈明したという。

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