マー君メジャー初完封で開幕6連勝

 「メッツ0‐4ヤンキース」(14日、ニューヨーク)

 ヤンキースの田中将大投手(25)は14日(日本時間15日)、メッツ戦でメジャー初完封勝利を飾り、開幕6連勝。メジャー最多の114球を投げ4安打8奪三振無四球。メジャー初安打も記録した。日本投手のメジャー1年目での開幕6連勝は02年の石井一久投手(ドジャース)に並ぶタイ記録。自身の日米のレギュラーシーズンの連勝記録を「34」に伸ばした。

 グラブを軽く3回たたいただけだった。メジャー初の完封勝利。球団64年ぶりとなる開幕6連勝。派手なアクションもなければ雄たけびもない。田中将が静かに喜びに浸った。

 負けられない理由があった。チームはここまで今季最長の4連敗。“地下鉄シリーズ”と呼ばれる同カードも6連敗中。「なんとか自分が止めたいとは思っていた」

 ところが、初回は球が高めに浮いた。1死二塁のピンチを脱したあと、自分に言い聞かせた。「出足は悪いけど、こっからよくなっていくやろ」。その暗示どおり、二回から3回連続三者凡退。その間に味方打線が着々と加点。終わってみれば、三塁さえ踏ませない圧巻の投球だった。

 3日前のブルペンでは、宝刀のスプリットやスライダーを1球も投げなかった。珍しく自身の通訳を右打席に立たせて調整。詳細は明かさなかったが、この日はスプリットの割合を減らし、7つの球種を駆使。七回は3者連続三振に斬った。「幅広くいろんなボールを使って、いろんな攻め方ができた」と満足感を漂わせた。

 “ご褒美”もあった。九回2死でメジャー初安打となる中前打。「みんなから『ヒット打て』って言われていた」。二塁手が伸ばしたグラブの先を抜けたゴロ打球。心の中で「抜けろ!」と念じた。

 先発4番手で開幕を迎えた男がエースの働きを見せている。「まだ早すぎる。成功ともなんとも思ってません」。7年1億5500万ドル(約158億円)の契約の意味を25歳の若者はしっかりと理解している。

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