北宋時代の希少な青磁展、大阪の東洋陶磁美術館で

「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で開催中の展覧会『台北國立故宮博物院 北宋汝窯青磁水仙盆』で、中国陶器の名品中の名品が見られます。

北宋汝窯青磁水仙盆とは、中国・北宋時代に汝窯(じょよう)という産地で作られた青磁のことです。中国の歴代皇帝遺愛の品であり、特有の透明感漂うブルーは「雨過天晴」と呼ばれました。また、破綻のない美しいフォルムや、伝世品が約70点と希少なことも、その価値を絶対的なものにしています。特に水仙盆は世界に6点しか現存しておらず、うち5点が本展で見られるのです。

作品を見ると、少しずつ大きさや色合いが異なりますが、いずれもきわめて美しい器です。なかでも「青磁無紋水仙盆」は傷や色むらが全く見られず、約1000年前に作られたとは到底思えません。この器を守り伝えるために、どれだけの労力が費やされたのだろう。そんなことを考えると目がくらむような気持ちになりました。

「人類史上最高のやきもの」といわれる一方、あまりにも完成度が高いがゆえに、面白みに欠けるような気も。日本人は昔から、歪んだ茶器や文人が描く南画など、どこかに欠落や隙があるものに美を見出す傾向があります。しかし、「北宋汝窯青磁水仙盆」はその対極に位置しているからです。

古今東西、人間は完全なものを探し続けてきました。その膨大なトライ&エラーの積み重ねが文化なのかもしれません。そしてごく稀に、人間業とは思えない奇跡の名品が生まれ、現代に伝えられています。人間が抱く飽くなき完全への希求と、その結実としての「北宋汝窯青磁水仙盆」。そんなことを考えながら本展を見ると、また違った感慨に浸れました。

文・写真/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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