難解アートに挑む、京都の舞台芸術祭

タイトルにある「EXPERIMENT(実験)」の言葉通り、国内外の先鋭的なステージパフォーマンス&展示を厳選した、京都発のアートフェスティバル『京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN』(以下KEX)。10月からの開催を前に、12組のアーティストによる15の公式プログラムが発表された。

前回は「ロームシアター京都」オープンイベントを兼ねた効果もあり、来場者数3万人を突破した『KEX』。身体パフォーマンス系の作品が多かった前回とは対称的に、今回は言語、国籍、現実と虚構の間など様々な境界を、演劇や演劇的な手法によって表現したり、その境を無くそうと試みる作品を選定したという。

実行委員長の森山直人氏は「できるだけ長いスパンで考えられる、目先のことだけにとらわれない柔軟な芸術を選んだ」とも話す。相次ぐテロや人種対立など、いっそう先行きが不透明となった現代。そこで付け焼き刃的な答えを性急に出そうとするのではなく、問題に対していたずらに動じず、じっくりとより良き道を考えていく・・・。そんな、哲学者の鷲田清一氏が唱える「知的耐性」を体現すると同時に、観客もその力を養えるようなアートを提示することを、特に意識したのだそう。観てすぐには(時には作る側さえも)、意味や狙いが理解できないからこそ、終演後も長い時間をかけてその作品について考え続ける。このことが世界中の境界にまつわる諸問題に向き合い、じっくりと考える機会にもつながる、というわけだ。

チケットは公演によって異なるが、フリーパス24000円などセット券も用意。8月8日より各プレイガイドで発売される。

取材・文/吉永美和子

(Lmaga.jp)

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