【札幌記念】モーリス劇走 モレイラと文句なしの最終デモ

 「札幌記念・G2」(21日、札幌)

 文句なしの最終デモだ。函館で調整している昨年の年度代表馬モーリスが17日、名手モレイラを背に3頭併せで最先着。好気配を漂わせた。安田記念こそ慣れない調整過程もあってか2着に敗れたが、立て直された今回は態勢万全。2000メートルを難なく克服し、改めてその力を誇示する。

 函館のターフが一瞬で劇場と化した。さすがは世界的名手と、年度代表馬による超強力タッグだ。スタートからフィニッシュまで、モレイラとモーリスは心を通わせ、リズムが乱れることはなかった。3頭併せの真ん中で追われて、ネオリアリズム(5歳オープン)にきっちり半馬身先着。チャンピオンズマイルに続いて、これが2度目とは思えないほど、ぴたりと折り合いが付き、見た者をとりこにする美しいハーモニーを奏でた。

 「100%予想通りの動きをしてくれた。香港の時に比べると気持ちの面では少し下だけど、競馬に向かって良くなると思うし、当日は香港と同じか、もしくはさらに良くなるんじゃないかな」と“マジックマン”の異名を持つ鞍上は笑みを浮かべる。追い日前日に初めて函館入りした名手は、以前から熱望していたという温泉に入り、さらに名物のイカなど会席料理を完食したが、やはりモーリスはそれらを上回る究極の乗り味だ。「いい勝負ができると思う」と満足げに舌を鳴らした。

 前走の安田記念はまさかの2着。ただ、検疫のため、東京競馬場で1頭での調教を余儀なくされ、満足な調整ができなかったのも事実だ。池田助手は「安田記念の時より間違いなく上」と断言。5F62秒4-34秒5-11秒6と時計的にも申し分なかった最終デモの動きが、前走以上を物語っている。

 課題とされる距離も「香港と今回のイメージや、性格から2000メートルは問題ないと思う。持つ自信があるよ」とモレイラは胸を叩く。マイル最強王者が歩む新たな道。頼れるパートナーを背に、怪物がさらなる高みへと踏み込む。

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