【NHK】クラリティV「やったぜ!」

 「NHKマイルC・G1」(10日、東京)

 出走馬中、唯一の皐月賞組が栄冠をつかんだ。3番人気のクラリティスカイが、好位から鮮やかに抜け出して、01年クロフネとの父子制覇を達成。騎乗した横山典は、ゴールドシップで制した先週の天皇賞・春に続く2週連続のG1勝利となった。4番人気のアルビアーノが初黒星となる2着。3着には2番人気のミュゼスルタンが追い込み、1番人気のグランシルクは5着に敗れた。

 新緑が鮮やかな府中で、先週の京都に続き横山典の笑顔がはじけた。クセ馬ゴールドシップに騎乗し、巧腕を見せつけた天皇賞・春に続く、2週連続のG1制覇。検量室前では、「やったぜ!」と絶叫しながら“デットーリジャンプ”でクラリティスカイから飛び降り、歓喜で目を赤く腫らした友道師らと固い握手を交わした。

 「厩務員さんやスタッフがきっちりと仕上げてくれた。返し馬で(この出来なら)真っ向勝負しても大丈夫と思った。強気に乗った分掛かったが、よく辛抱してくれた」。47歳のベテランは、陣営の努力とパートナーの奮闘をたたえた。

 熟練の技がさえた。スタート後はスムーズに好位を奪い、行きたがる馬をなだめる。直線は先に抜け出したアルビアーノを射程圏に入れ、左ステッキでゴーサイン。途中でムチを右手に持ち変え、馬体を併せにいき追い比べに持ち込んだ。名手が手綱を押すと、もうひと伸び。最後は1馬身差で歓喜のゴール板に飛び込んだ。

 皐月賞5着後は協議の結果、距離短縮を決断。01年覇者クロフネとの父子制覇に、友道師は「本当にここを使って正解でした。松田国先生のところにいたときに(助手として)クロフネに乗せてもらっていたが、すごくパワーを感じていた。この馬も力がある。高速馬場にもよく対応してくれた」と愛馬をねぎらった。

 この東京開催ではフローラSを含めて所属馬が5戦5勝。トレーナーが重賞で必ず締めるバーバリーのエンジ色のネクタイが、この日も絶大な効力を発揮した。「次はオークスといきたいね」。シングウィズジョイで挑む、2週後のG1でのさらなる快進撃を誓った。

 G1馬となったクラリティは、13日にも滋賀県の吉澤ステーブルWESTに放牧に出される予定だ。師は「現時点ではマイルが合っていると思う。ダービーはやめます」と明言。状態次第で安田記念(6月7日・東京)への参戦を視野に入れる。「まだ良くなる余地を残しているなかで、こういうレースができたのは大きい」と横山典。伸びしろを残した3歳マイル王が、次は古馬撃破に挑む。

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