大平透さん死去「ハクション大魔王」声

 テレビアニメ「ハクション大魔王」の大魔王役や「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造役などで親しまれた大ベテラン声優の大平透(おおひら・とおる)さんが12日、肺炎のため死去した。86歳。東京都出身。葬儀は近親者で行われた。後日、お別れの会を開く。        

 あの「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」は、もう聞けない。

 所属事務所によれば、大平さんは年明けに声優の仕事を行ったのを最後に入院。病気療養に入っていたが、復帰はかなわなかった。

 大平さんは1952年、ラジオのアナウンサーになり、55年に俳優に転身。当時はテレビの草創期で、声優として活躍した。

 1956年に放送された米ドラマ「スーパーマン」の主人公クラーク・ケントの吹き替えを担当し、大ヒットとなった。67年から日本で放送された米ドラマ「スパイ大作戦」で、主人公にテープの音声で指令を伝える「おはよう、フェルプス君」というせりふでも注目を集めた。

 アニメでも活躍し、「おらぁグズラだと」(67年~)のグズラ役からタツノコプロのアニメの常連に。「ハクション大魔王」(69年~)で大魔王のぼやきを軽妙な語り口で演じたほか、「科学忍者隊ガッチャマン」(72年~)の南部博士などを好演した。

 また、藤子不二雄Aさん原作の「笑ゥせぇるすまん」(89年~)では、大平さん演じる主人公・喪黒福造の「ドーン」という決めぜりふや独特の笑い声で人気となった。

 その他の代表作に、特撮ドラマ「マグマ大使」(66年~)のゴア役、映画「スター・ウォーズ」シリーズのダース・ベイダー役の日本語吹き替えなどがある。また、後進の育成にも尽力した。

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