荻野目洋子 波瀾万丈40周年 「まだまだ」痛感80年代 危機感の90年代 自分信じ突き進んだ00年代

 デビュー40周年を迎えた荻野目洋子(撮影・金田祐二)
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 歌手の荻野目洋子(55)が4月3日にデビュー40周年を迎え、節目の1年をロケットスタートさせた。4月に新曲「Let’s shake」を配信リリースし、4カ所8公演のアニバーサリーツアーをすでに開催。衰え知らずの歌声とダンスをステージに提示し、新旧ファンの心をつかんで離さない。80年代のアイドルシーンに君臨した全盛期から現在に至るまでの波瀾(はらん)万丈な“荻野目ヒストリー”に迫る。

 デビュー40周年にファンへ心からの愛を叫ぶ。「実際に4月に40周年を迎えてみて、ファンの皆さんがライブに全国から駆けつけてくれた。しかも同世代なので、仕事や家族をやりくりしてきてくれて。親になって子供を連れてきてくれる人も多くなった。こんなふうにどんどん輪が広がっていくんだなと。一生懸命集まってくださり、同じ時間を共有できたことがうれしくて、本当に良い時を迎える事ができた」。声援を一身に受け、多幸感に包まれた歌手生活40周年を送っている。

 荻野目が一躍脚光を浴びた一曲と言えば、85年の「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」が挙げられる。17年にリバイバルヒットした同曲は、耳に残るユーロビートが特徴。歌って踊れる歌手の先駆者的存在として、80年代のアイドルシーンにその名を刻んだ。同期の84年デビュー組は岡田有希子さん、菊池桃子、工藤夕貴、長山洋子、安田成美、沢口靖子、仙道敦子ら。女性アイドルの豊作年でライバルが多い時代だっただけに、デビュー当時の記憶を次のように語る。

 「当時は(レコード大賞の)新人賞レースがあったけど、私はそういう場所に立つのは、あまり好きじゃなかったです。緊張感がすごいですもん、大人たちがギラギラしていて(笑)。皆ライバルなので、雑誌や音楽祭で『どっちが売れるんだ』とレーベルの皆さんがバチバチしていた。ただ、当人同士は同世代なので、わちゃわちゃしながら衣装の話とかしていた。テレビもイベントも皆同じ仕事場にいる感じだったので、そういう意味で楽しい時代でしたね。切磋琢磨(せっさたくま)して良い刺激を与え合っていた」

 夢の始まりは、実家にある長姉の部屋だった。姉2人、兄1人の4人きょうだいの末っ子として生まれた荻野目は、幼少期から一人遊びが得意。「姉(長姉)の部屋がオーディオ機器が整っている部屋で、マイクもあった。当時のシングルレコードはB面がカラオケで、私一人でよく歌っていたんです。そこが練習スタジオだった」。一人カラオケで満足せず、小学2年で夏祭りののど自慢大会に参加し、ほかの大人を抑えて準優勝。これが成功体験となり、オーディションを受け始めた。

 デビュー1年で爆発的に売れたが、決して天狗(てんぐ)にはならなかった。「地方のコンサートホールに行った時、テレビのチャンネルが全局映っていないというのを初めて知った。全国で知っていただくには、時間がかかるんだなと初めて理解した。地方で何回も行かない場所では、ヒットしてからもお客さんは満杯にはならないですし。そういうことがあるので、私はまだまだなんだなって思うところがたくさんありました」。地に足を着け、80年代のアイドル戦国時代を生き抜いた。

 90年代に突入すると、アイドル全盛期は終焉(しゅうえん)を迎えた。「バンドブームが来て、もうアイドルなんてカッコ悪いみたいな時代になった。今までと同じではまずいなとすごく危機感を感じて、それまでスタッフの皆さんにお任せだった音楽の制作や、どういう歌がいいのかと考えるようになった。プライベートでいろんな人と会うようになって、流行にアンテナを張り巡らせていた」。歌手として生き残るため、自分のアイデンティティーを見つけ出す10年間を過ごした。

 00年代に入ると、ライフステージが激変した。01年に元プロテニス選手の辻野隆三氏と結婚し、06年までに3人の娘が誕生。13年頃まで家庭優先の生活を送った。「結婚する時に『結婚=引退という感じになるだろう』と事務所から言われた。決めつけられたくない反骨精神もあり、自分を信じて突き進んでいた時期」。3人娘が成長し、育児も一段落した頃の17年に「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」が再ヒット。「何があるか分からないですね」とほほえむ。

 1時間の取材で、自身の過去という“時空旅行”を楽しんだ荻野目。この先に描く夢は何か。「正直分からないですよ。いつ具合が悪くなるか分からないし、今は先が読めない時代。一つ一つできることを大切にしていたいと思いますし、少しでも歌が歌えるように体を鍛えていこうという思考になりますね。若い時は、共演したい人や立ちたいステージを夢見る。今は夢を語るより、現実をいかに近づけていくかの作業です」。未来は未知数。自らの手で運命をたぐり寄せていく。

 ◇荻野目洋子(おぎのめ・ようこ)1968年12月10日生まれ、千葉県出身。1984年に「未来航海-Sailing-」でデビューし、85年の「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」が大ヒット。86年にNHK紅白歌合戦に初出場し、過去5回の出場歴がある。86~89年に「日本レコード大賞」の金賞を4年連続で受賞。17年に「ダンシング-」がリバイバルヒットし、現在までに42枚のシングルと29枚のアルバムを発表してきた。趣味は音楽鑑賞と昆虫観察。

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