【専門家の目】桂歌丸 体重戻れば早期退院も 痩せた人がさらに痩せた症状

 落語家の桂歌丸(79)が腸閉塞治療のため入院した。入院期間は未定という。歌丸は昨年も同時期に同様の病気で入院しており、容体が懸念される。兵庫県芦屋市の「松本クリニック」の松本浩彦院長は、痩せている人がさらに痩せた時に見られる症状で、適度な体重に戻せば長くない入院期間で退院できるだろうとの見通しを示した。

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 桂歌丸さんが、腸閉塞治療のため入院したとのことです。病名は上腸間膜動脈症候群(十二指腸狭窄症)で今後の検査で治療法を決めるということですが、私はまず、手術などの大げさな治療はせず、しばらくしたら退院して来られると思っています。

 聞き慣れない病名ですが、原因や病状がさまざまで、それをひっくるめて症候群と名付けているわけで、われわれは略してSMA症候群と呼んでいます。上腸間膜動脈は身体の中心を走る大動脈からの枝分かれで、十二指腸から小腸、大腸の半分と膵臓(すいぞう)を栄養している重要な血管です。

 原因もさまざまと言いましたが、この血管が動脈硬化や、例えば血栓などで詰まってしまいますと、腸のほとんどに血液が送られずに腸管壊死。いますぐ生死に関わる緊急事態です。歌丸さんの場合は典型的なSMA症候群で、もともと痩せている人がさらに痩せた時に、上腸間膜動脈と腹部大動脈の間に十二指腸がはさまれて腸閉塞の症状が出ている状態でしょう。

 痩せすぎて血管が腸を圧迫して腸閉塞になっているということです。十二指腸から空腸への移行部は、前方から上腸間膜動脈、後方から腹部大動脈にはさまれています。この部位はふつう脂肪やリンパ組織のクッションで守られていますが、体重減少でこのクッションがなくなると、十二指腸が前後方の血管に締め付けけられてSMA症候群になります。

 主な症状は食後の嘔吐(おうと)や腹痛で、上腸間膜動脈の締めつけがなくなればすぐに改善します。これから検査をして治療法を決めるということは、すでに十二指腸が壊死をおこしているとか、動脈塞栓(そくせん)で腸の大部分が壊死して、とかは考えられません。保存的治療すなわち、適度の体重に戻すことが最重要です。

 一度にたくさん食べない、おなかを締めつけず、おなかを突き出すような感じで常にリラックスした姿勢。要は内臓脂肪を増やすこと。それで十二指腸と血管の間にクッションとなる脂肪組織さえ戻れば、また元気に退院して来られると思います。

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