神田正輝コラム カップ麺でのシベリア

 【ナンダカンダで40年】ゴールデンウィーク真っただ中…というわけでもないのですが、僕が経験した海外の旅、それもかなりヘビーだった体験談を2回に分けてお送りします。

 30日間を30万円で世界一周するというテレビの企画をやったんです。日本から北京に飛んで内モンゴルからシベリア鉄道でモスクワへ。パリからノルマンディーに行き、船でドーバー海峡を渡ってロンドンへ。飛行機でニューヨークに渡り、長距離バスのグレイハウンドに乗ってロサンゼルス。そして日本に帰るという旅でした。

 シベリア鉄道に3週間乗ったんですが、時速60キロ位で走っていて、車窓から見える景色はダーッと広がる雪原と、そこに生えている白樺だけ。ずっと景色が変わらないんですよ。だから何日たったのか、今がいつなのか、時間の感覚が分からなくなる。ちょっと神経質な人は耐えられなくなります。うちのスタッフは1週間位したらダウンして、3日位は何も食べられずに小さなベッドで寝ていました。「行くとこまで行くしかない。考えても仕方ない」と言い聞かせるしかなかった。

 車内にトイレはあるんですけど、1、2週間もすると便器の回りは排せつ物だらけになります。当時、僕は45歳になり立てで、シベリアに行ったのは1月だったかな。列車の外はマイナス50度位の極寒ですよ。排せつ物も凍結して固まっているので、臭くはないんだけど参りました。

 食堂車も3日位で食材がなくなっちゃう。ボルシチ食べても透明なの。トマトがなくて、余った料理の野菜を何でも入れて煮ている感じで。缶ビールを買っても、コップに入れると澱(おり)とかゴミが入っていて飲めなかった。助かったのはカップヌードル。その時、僕は日清のCMをやっていたので、いっぱい持って行ってた。軽いしね。スタッフが12人いたんだけど、みんな、それを1日に5~6個、毎日食べた。給湯器はあるんだけど、お湯が茶色い。でも、そんなこと言ってられなかったですよ。

 列車に乗った時、もらうのはベージュ色でつぎはぎだらけのシーツ1枚だけ。日本でも終戦時の大陸からの引き揚げ列車とか大変だったと思いますが、20年前のシベリア鉄道、今は違うんでしょうけど、大変でしたね。

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