大震災忘れない…胸に刻む神戸の20年
17日で阪神・淡路大震災から20年を迎える神戸を舞台にした映画「劇場版 神戸在住」(17日公開)のトークイベントが12日、都内で行われ、兵庫県出身の白羽弥仁監督(50)とシンガー・ソングライターの野田幹子(49)、陣内大蔵(49)が出席した。神戸在住、神戸育ちなどそれぞれ神戸に思い入れがある3人は、震災前の町並みを振り返るなど、悲劇を忘れないという思いを新たにした。
白羽監督は「1月17日のことははっきり覚えています。灘区の山の上の方に住んでいて、下から(火災の)煙が上がってきて、高台でも燃えていて…後ろを見ても前を見ても燃えていた。臨時電話が引かれたけれどつながらなかった」と、唇をかみしめた。
「思い出したくないこともたくさんあるので、映画で再現するのはやめようと思った。原作には生々しく出てくるけれど、被災を体験した人に見てもらうのはしのびない」と工夫も明かした。
甲南女子大出身で、震災前の神戸で撮影された白羽監督の映画「She's Rain」(93年)に出演した野田は「震災後しばらく監督と連絡が取れなかった。あの時、監督と親戚だということも分かったんですよね」と回想。「『She-』と重ね合わせて見ました。17日にはまた思いを新たにしたい」と、しんみり話した。
関西学院大時代、北野坂や甲子園球場でアルバイトをしていたという陣内は「あの時の神戸と今の神戸を感じることができる作品。20年って時間は感じるけれど、キープ・イン・タッチ(やり取りを保つこと)していかなければ」と、復興への思いを語った。
白羽監督は「これからも毎年1月17日はやってくる。その時に映画のことを思い出してもらえるような、心に残る作品にしたかった」と語っていた。