届かなかった早朝「ニッポン」の声
早朝の日本列島をため息が包んだ。サッカーワールドカップ(W杯)で日本の1次リーグ敗退が決まった25日、各地で声をからしたサポーターらは「残念」「言葉がない」と肩を落とした。東京・渋谷のスクランブル交差点では、サポーターの足取りは一様に重く、大阪・道頓堀でも、飛び込む若者は現れたものの渋谷同様混乱には至らず、落胆の大きさをうかがわせた。
各地でパブリックビューイング(PV)などの観戦イベントが行われたが、願いは地球の裏に届かなかった。
東京・丸ビルのPVには徹夜組40人を含む180人が集結。岡崎の同点ゴールに、サポーターはハイタッチを交わして歓喜の「ニッポン」コールを爆発させたが、後半の相次ぐ失点に声援は薄れた。
会社員の井上勇希さん(30)は「世界との差を感じる結果になって残念です」と悔し涙。内田のユニホーム姿の会社員、蓬田恵梨子さん(25)は「このままこれを脱いで仕事です」と、現実を見すえた。
高校2年生の吉田弥さん(16)は、同級生3人と大荷物で観戦。「これから京都へ修学旅行なので、新幹線で寝て気持ちを切り替えます」と、JR東京駅に向かった。
本田の地元の大阪府摂津市では、昨年死去した本田の祖父の友人松元淳さん(61)の経営する居酒屋に森山一正市長ら十数人が集まった。内田の地元の静岡県函南町では約250人、柿谷の地元の大阪市都島区では約130人がPVに参加。岡崎の母校の神戸・滝川二高ではサッカー部員65人が観戦した。
岡崎の後輩・倉本頒太郎君(18)は、同点弾を「岡崎選手らしい泥くさいプレー」と喜んだ。田畑龍生都島区長は「柿谷選手はまだ24歳。4年後、8年後にまた皆で応援できる日を楽しみにしています」と期待していた。
