麻生副総理、ナチス発言撤回

 麻生太郎副総理兼財務相は1日、憲法改正に絡み戦前ドイツのナチス政権を引き合いにした自身の発言を「誤解を招く結果となった」として撤回した。野党のほか米国のユダヤ系団体が厳しく批判。国際関係への影響を懸念し早期収拾を図った。麻生氏は1日午前、財務省に登庁した際にコメントを読む形で記者団に「ナチス政権を例示として挙げたことは撤回したい」と説明。「私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾」と釈明した。

 麻生氏は7月29日夜に都内で講演し「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。

 この発言に対し、米国のユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は7月30日付の声明で「どんな『手口』を学ぶ価値があるのか」と厳しく批判。中韓両国も「多くの人を傷つけることは明白だ」(韓国外務省)などと問題視。国際関係への影響を懸念し早期収拾を図った。

 麻生氏は一連の発現について、憲法改正をめぐる議論の重要性を強調するため、あしき例としてナチス政権を引き合いに出したと説明。「私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である」とし、発言を撤回した。

 一方、菅義偉官房長官は1日午前の会見で、7月31日に麻生氏に「誤解を受けている」と撤回を促したことを明らかにした上で「安倍内閣はナチス政権を肯定的に捉えるようなことは断じてない」と力説した。だが、麻生氏の責任に関しては「辞任には当たらない」と強調した。

 野党側は批判を強め、民主党の海江田万里代表は党役員会のあいさつで、麻生氏の発言を「ファシズムを正当化していると受け止められる可能性がある。民主主義を無視した発言で、撤回して済む話でない」と批判、安倍晋三首相の任命責任を追及する方針を表明した。共産党の志位和夫委員長は「閣僚の資格はもちろん、政治家としての資質が厳しく問われる」と議員辞職を求めた。

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