猿翁8年ぶり復帰舞台
歌舞伎俳優の市川猿之助改め二代目市川猿翁(72)が4日、都内で行われた「七月大歌舞伎」初日公演に出演し、約8年半ぶりに役者として舞台復帰した。猿之助時代の03年11月の博多座公演中に、脳こうそくで倒れて入院。その後、04年2月24日に札幌で「一条大蔵譚」に出演したのを最後に療養生活を送っていた。
この日、猿翁が演じたのは「楼門五三桐」の真柴久吉。黒子に体を支えられながら「石川や、浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」とせりふを決めると、客席からスタンディングオベーションが起こった。
かつては絶縁していた息子が復活を支えた。一度幕が下り、再びカーテンコールで登場すると猿翁の後ろにいた黒子も顔をチラリ。俳優・香川照之としても活躍する九代目市川中車(46)だった。父子愛を目撃した会場は万雷の拍手に包まれた。
初共演となった市川海老蔵(34)と壇上で握手を交わした猿翁は「芝居でも久しぶりに舞台に立つことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。今後も創作者としての“挑戦”を続けてまいります」とコメントを発表。舞台への情熱が衰えていないことを表明した。
