高知・平良 憧れのクローザー転向
【高知・平良 成投手】
「スタートは、そういう形で入ってみないか」
開幕直前、平良成(たいら・おさむ)は吉田豊彦コーチから「抑え」としてのポジションを打診された。越知町杯スプリングトーナメント(3月26、27日)の少し前のことである。
「『お!抑えか。やりたい!』と前向きに捉えられたので。モチベーションは上がりましたね」
小学生のころ、プロ野球中継で見るクローザーの姿は憧れの存在だった。どの投手も球が速くて、変化球もキレる。派手なパフォーマンスに「すごいなあ」と感じていた記憶がある。
これまで2年間、主に先発を務めてきた。昨季終盤の2試合で抑えを任され、1セーブを記録している。
「後ろで投げてみたい」という気持ちは心のなかにずっと持っていた。いざ抑えを経験してみると、それまでやったことがなかったわりにはしっくり来る。
「先発のときみたいに気負うことなく、淡々とこなせる部分があるので」
性格的にも合っているように感じる。越知町長杯でも2度、最終回のマウンドに登り、共に無失点と責任を果たした。
持ち味は140キロ台後半のストレートだ。さらに三振に仕留められる速い変化球を磨く。先頭打者を必ず獲ることを心掛けながら、奪三振率を高くしていきたいと考えている。
アイランドリーグで場数を踏みつつ、1年目で球質が良くなった。2年目で制球力が上がった。3年目、吉田コーチの言う「体のメカニズムとピッチングの関連性」を、徐々に自分の感覚で理解でき始めている。
「『体をこう使ったら、どこに行きやすい』とか『ここにボールが行くのは体がこうなっているからだ』というのを吉田さんから何回も言われて。実際、自分の感覚でも分かるようになってきたのが去年の終わりからで。『こういうことか!』というのに結びついてきたなと思います」
香川との今季初戦(14日、高知)3点のリードをもらって九回裏のマウンドへ登った。
「ちょっと力んでましたけど。丁寧に、丁寧に」
初セーブを記録し、高知の初勝利に貢献している。