広島のボール犬 ミッキー逝く…マツダスタジアム哀悼の半旗

 【2009年4月15日デイリースポーツ紙面より】

 広島市民球場で球審にボールを運ぶベースボール犬として人気を集めたミッキーが、老衰のため8日に亡くなっていたことが14日、明らかになった。11歳で人間の年齢に換算すると約86歳で、“登板試合”の通算成績は3年で15勝7敗。広島は14日の横浜戦(マツダ)で球団旗を半旗にするなど哀悼の意を示したが、投打ともに振るわず〝追悼試合〟は悔しい敗戦となった。

 あの愛くるしい姿はもう見られない。アニメ「フランダースの犬」のテーマソングが流れると誰もが胸を躍らせた。つぶらな瞳でしっぽを振り、ボールが入ったかごをくわえて球審のもとへ走る。野球ファンだけではなく、日本中に感動と癒やしを与えてくれたミッキーが、この世を去った。

 広島にとっては選手と並んで球団の顔とも言える存在だった。13日にふ報を聞いた松田オーナーは「ショック。弔意を示したいし、全国にファンがいる。その人たちの気持ちも一緒に示したい」と14日の横浜戦は球団旗を半旗にして哀悼の意を示した。

 愛犬家として知られ、試合前に体をなでていた嶋は「きょうは何としても勝ちたい」と意気込んでいた。一回終了後にバックスクリーンのオーロラビジョンに在りし日の姿が映し出されると、スタンドからはため息が漏れた。球団、ナイン、ファンはミッキーを追悼するために一体となったはずだった。  しかし、その思いは通じなかった。先発の大竹は6回4失点。打線も横浜投手陣を攻めあぐねた。八回無死三塁で代打・喜田の左前打で1点を返し、無死満塁までチャンスを広げながら石原、栗原、嶋のクリーンアップが凡退。ブラウン監督は「ミッキーはかわいかった。私も同じような犬を飼ったことがあるので残念だ」と悔やんだ。

 誰からも愛されたミッキーだった。05年3月12日のソフトバンクとのオープン戦で、球界初のベースボール犬としてデビュー。07年まで3シーズンにわたり背番号111(ワンワンワン)のユニホームを着て活躍した。06年4月には写真集も発売され、同年のオールスター(神宮)にも出場。のちにオリックスのボールモンキー「ゴウ君」や、ロッテのボール犬「エルフちゃん」も誕生。球界の動物ブームの先駆けでもあった。

 いつも元気で多くの人を和ませたミッキーでも、年齢による衰えには勝てなかった。球団は08年9月28日の広島市民球場最終戦にもオファーを出していた。だが、その時点で視力が衰え、前足の状態もよくなかったため依頼を撤回。結局、07年9月11日の阪神戦が最後の“登板”となってしまった。球界に新たな風を吹き込み、天国へ旅だったミッキー。その活躍はいつまでも色あせない。

 ▽ミッキー(MICKEY)

 1997年4月10日生まれ。ゴールデンレトリバーの雄。身長は約100センチ、体重38キロ。05年3月12日のソフトバンクとのオープン戦で初出場し、05年4月10日のヤクルト戦で初勝利を挙げた。06年にはオールスターにも出場。通算成績は3年で15勝7敗。背番号は111。

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