広島・栗林 来季先発転向へ シビアな場面で投げ続けた男が新たな挑戦 新井監督「“遊び”というのを覚えて欲しい」

 広島・栗林良吏投手(29)が来季から先発転向することが17日、分かった。新井貴浩監督(48)が明言した。今季は55試合の登板で10セーブ、23ホールドと奮闘。指揮官は先発として投球の幅を広げることを求め、本人のフィジカル面も考慮して決めたと明かした。通算134セーブを積み上げてきた右腕の、新たな挑戦が始まる。

 しびれる終盤に腕を振ってきた男が、来季から真っさらなマウンドに立つ。栗林が6年目の来季を先発で迎えることになった。みやざきフェニックス・リーグを視察中の新井監督は「来年から、先発挑戦というような形になる」と明言した。シーズン終了前に本人と話す機会を設け、先発転向が決まった。

 栗林は入団してからリリーフ一筋で抑え、セットアッパーなどを経験。その過程も踏まえ、指揮官は新境地で違った一面が発揮される姿を描く。「1点も取られてはいけない、1球も甘く入ったらいけない場面でずっと投げていたからマウンドで“遊ぶ”という感覚が今までなかったと思う。“遊び”というのを覚えてほしい」。

 失敗が許されないポジションで目の前の1球に全身全霊を注いできた。ただ、先発の役目は長いイニングを消化して試合をつくる点にある。投球全体にメリハリを付けることで、新たな一面がマウンドで示され、それが本人の成長にもつながっていくと判断した。

 もう一つの要素は右腕のフィジカル面。夏場以降は森浦が抑えに定着したことで、栗林は六、七、八回に登板することが多かった。出番が流動的になったことで、ブルペンで準備を施す回数も必然的に増えていった。

 「今まではクローザーと決められていたから、自分でそこに合わせて準備したら良かったけど、(中継ぎは)ブルペンにいて準備することが増えてくる。同点や1点ビハインドでも行ったりしていたから、彼のフィジカル的なことを考えると負担がすごく大きくなっていたと思う」と肉体面も考慮したと明かした。

 1年目の21年に新人ながら抑えを任され、37セーブを記録。同年の野球日本代表「侍ジャパン」に選出され、東京五輪で胴上げ投手にもなった。昨年5月26日・DeNA戦では通算100セーブに到達。日本人最速タイ記録となる178試合目で金字塔を打ち立てた。

 代名詞のフォークをはじめ直球、カーブ、カットボールと球種も豊富。「クイックもできるし、フィールディングもうまい。先発投手として、やれる要素を彼は持っている」と期待を寄せた新井監督。実績十分のリリーバーが、カープ先発陣に厚みをもたらしていく。

 ◆守護神から先発転向の主な投手 山口俊は横浜でのプロ4年目だった09年途中から守護神となり11年に34セーブ。14年途中から先発に回り巨人時代の19年に15勝で最多勝のタイトル。松井裕樹は楽天でのプロ2年目の2015年から守護神に定着し20年は先発スタート。同年シーズン途中から再びリリーフで21年から再び抑えとなった。一方で西武・平良海馬は22年にリリーフで35ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手。先発転向の23年に11勝を挙げ、抑えを務めた25年に31セーブで最多セーブ。

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