広島・田中広輔「勝つことが正義」リーグ3連覇の立役者が愛のゲキ 現役続行諦めない「心の炎がついた」

 「広島1-3ヤクルト」(4日、マツダスタジアム)

 広島は本拠地で行われたヤクルト戦に敗れ、今季の全日程を終了した。今季限りでの退団が発表されている田中広輔内野手(36)は「1番・遊撃」で出場。菊池と4年ぶりに1、2番の“タナキク”コンビを結成し、場内を沸かせた。試合後には広島で過ごした12年間に感謝しつつ、球団へ愛ある“ゲキ”も送った。鯉党に愛された背番号2が次なるステージへ、進んでいく。

 本拠地から降り注ぐ「広輔」コールは、背番号2がベンチ裏に引き揚げるまで絶えることはなかった。田中広輔-。鯉党に愛された男が赤いユニホームを脱ぐ。最終戦で残したのは、最後まで勝利を追い求める姿勢とチームへの愛ある“ゲキ”だった。

 「プロ野球の1軍は勝つことが正義。そういう意識で僕自身もずっとやってきた。若い子たちはこれから何をしないといけないのか、改めて考えて死に物狂いで練習してほしいと思います」

 リーグ3連覇の立役者の一人として、「勝つこと」の意味を知る男の言葉は重い。

 最強タッグの再結成に鯉党が酔いしれた。「1番ショート田中」「2番セカンド菊池」。黄金期を象徴する“タナキク”コンビが1、2番で出場するのは、2021年4月6日のヤクルト戦以来4年ぶり。スタメン発表で沸き立つ本拠地を目にした田中は、「やっぱり懐かしいなと。つらい時から二遊間を一緒に守ってきた。こんな歓声を頂いて本当に頑張ってきて良かった」と少しだけ感慨に浸っていた。

 試合に入ると浮かれた表情は一切なし。安定感あるプレーを披露した。バットでは4打数無安打に終わるも、遊撃では4度の守備機会を丁寧にこなした。九回途中の守備で交代を告げられると、三塁・佐々木らと固い握手を交わしてベンチへ。温かい拍手に対し、帽子を取って応えた。

 今季、1軍での出場はわずか15試合。9月上旬には球団から引退試合、そしてコーチ就任の打診もあったが、野球への情熱は消えなかった。「プロ野球選手になりたくて社会人まで野球をした。やっとつかんだ世界をそう簡単には手放せない。辞めるならボロボロになるまでやって終わりたい」。2軍では3割を超える打率をマークしており、「もう一回、どこかでやれるという心の炎がぽっとついた」と、改めて現役続行への強い思いを表明した。

 カープでの12年間を締めくくる一戦を振り返り、「ファンの皆さんに割れんばかりの声援を送っていただいた。カープでやってきたことは間違っていなかったんだなと思いました」と納得の表情で汗を拭った田中。赤く燃え上がる夢見たこの世界で、研ぎ澄まされたそのセンスは、カープの歴史に確かに刻まれた。

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