「オリックス４－３広島」（５日、京セラドーム大阪）

　広島は再三の好機を生かせず、逆転負けを喫した。６カードぶりの勝ち越しを逃し、貯金も底をつき、勝率５割となった。六回以降は毎回得点圏に走者を進めるもあと一本が出ない展開。１２安打を放ちながら３得点、１３残塁と拙攻が目立った。新井貴浩監督（４８）は「あとひと押し」と前向きな言葉を口にした。６日の西武戦（マツダ）から再加速を図る。

　赤く染まった左翼スタンドの熱気が、ため息に変わった。１点を追う九回は相手のマチャドを攻めて２死満塁の好機。鯉党は一打逆転の願いを託したが、最後は秋山が空振り三振に倒れてゲームセット。あと１点が届きそうで届かなかった。

　五回に逆転を許したカープ。１点を追う六回からは４イニング連続で得点圏に走者を進めたが、最後は振り切られてしまった。新井監督は「いいところまでいっているので、あともうひと押しだと思います」と結果だけに焦点を当てず、好機をつくるまでの過程をポジティブに感じ取った。

　六回は２死一塁から佐々木が追い込まれながら右前打でつなぎ、一、三塁としてエスピノーザをマウンドから引きずり降ろした。しかし、２番手・山田の前に矢野が二ゴロに抑えられて本塁を踏めなかった。

　最ももどかしさが募ったのは七回だった。先頭・羽月が四球で出塁し、小園を迎えた。ベンチは犠打ではなく強攻策を選択して小園は左飛。ファビアンの左翼線二塁打で１死二、三塁と攻め立て、オリックスベンチは山岡にスイッチ。押せ押せムードが漂った中、末包と坂倉はいずれも空振り三振に倒れて反撃はできなかった。

　指揮官は「あそこは、向こうのベンチも空振り三振を取るために山岡くんにスイッチしているわけだしね。追い込まれたらなかなか厳しい中で、スエ（末包）も２球目のスライダーがファウルになった。ああいう場面になったら（甘い球は）来ても１球あるかないかぐらいだからね。また、そういうのを成長につなげてもらいたい」と悔しさを糧にする姿を求めた。

　末包は４日の同戦で八回に山岡と対戦して遊ゴロに凡退していた。本人は「セ・リーグにはいないタイプの投手。もっと、きのうの対戦を踏まえて入っていけたら良かったかなと思う。行くところは行っていいと思うんですけど、その中で（自分の）スイングが本当に正しかったのかとか、もっと割り切ってやれればなと思います」と唇をかみしめた。

　チームは６カードぶりの勝ち越しを逃し、貯金がなくなった。ただ、交流戦はまだ始まったばかり。６日からはマツダスタジアムに戻って西武との３連戦が控える。チーム全体で勝率５割からの再進撃を目指していく。