広島・末包 奮闘2ラン&適時打! サヨナラ負け4連敗も価値ある働き 新井監督「いいホームラン、いいタイムリーヒット」
「巨人4-3広島」(29日、東京ドーム)
広島・末包昇大外野手(28)がバットで打線をけん引した。2点を追う四回に同点の4号2ランを放つと、六回は2死三塁で勝ち越し適時打。今季3度目の1試合3打点で、巨人戦の好相性ぶりを示した。しかしチームは今季2度目のサヨナラ負けで4連敗を喫し、3位に転落。負の流れを止めるべく、30日の一戦で仕切り直す。
高く舞い上がった白球が左翼スタンドに着弾すると、赤い人波が大きく揺れた。勝負どころを逃さなかった、価値ある働き。悔しい敗戦の中、末包がチームの全得点をたたき出す奮闘を見せた。
まずは2点を追う四回だ。2死一塁で「体が自然に反応できた」と井上のカーブに泳ぎながら4号2ラン。3試合ぶりの一発で試合を振り出しに戻した。二回に2点を先行され、「少し嫌な空気だったので、自分の仕事ができて同点になって良かった」と、重くなりかけたムードを一撃で吹き飛ばしてみせた。
これだけでは終わらない。2-2の六回は2死三塁の好機で打席が巡り、再び井上から中前に運んだ。初球の直球を空振りし「もう一個前で(打とう)というイメージはありました」とすぐさま修正。初球と同じ149キロを鋭くはじき返した。延長十二回は相手のダイビングキャッチでアウトにはなったが、中前に安打性の打球を飛ばした。
これで今季の巨人戦は4試合で打率・412。セ・リーグ5球団別では最も高い。本塁打もプロ通算26本のうち、実に9本が巨人戦だ。相性の良さについては「たまたまでしょ」とかわしたが、東京ドームでも通算打率・357、4本塁打、12打点となった。
前カードのDeNA戦では初戦の25日に本塁打を放って以降、11打席連続無安打。ただ「状態自体は別に悪くないので」と気持ちは前向きだった。春先の好調ぶりに「全部が全部、来た球を打てるわけではないので、ここに来た球は絶対打つという割り切りを持って打席に入っている」と話していた。この日も「(井上は)いい投手なので割り切って変えずに」と、これまで通りのスタイルで好結果に結びつけた。
新井監督も「いいホームランだった。タイムリーは読みもあったと思う。初球の真っすぐを振って、次の真っすぐ。思い切りのある、いいタイムリーヒットだった」と評価した。
申し分のない活躍を見せただけに、チームが勝てなかったことが悔しい。「数字だけを見れば(巨人に)相性はいいと思いますけど、それでどれだけ勝ちを運べているかなので、明日以降に生かしたい」と末包。まずは連敗脱出へ、次戦こそ快音を白星につなげる。
◆末包、対巨人戦は相性抜群 末包が四回に今季巨人戦で初本塁打。対巨人戦は9本目となった。プロ通算26本塁打のうち9本が巨人戦で、セ・リーグの他の球団(DeNA、ヤクルト各5本、阪神、中日各2本)に比べると相性の良さが際立っている。さらに対巨人戦の通算打率も3割を超えており、本塁打数に加えて安打数、打点も対戦球団別では最も高い数字を残している。





