カープ床田 粘投実らず力尽く 六回に浴びた勝ち越し適時打「僕の持てる中で精いっぱいの球」

 「JERA CSセ・ファイナルS・第3戦、阪神タイガース4-2広島東洋カープ」(20日、甲子園球場)

 悔しさが表情に表れた。2-2の六回2死一、二塁。広島・床田寛樹投手(28)は、坂本に勝ち越しを許す右前適時打を浴びて顔をしかめた。はじき返されたのは、高めに浮いた直球だった。

 「あの時、僕の持てる中で精いっぱいの球を投げて打たれた。力負けです」

 序盤から飛ばし、猛虎を抑えた。それでも四回にノイジー、坂本に2者連続適時打。勝ち越された六回は、四球が絡んでピンチを広げていた。上位打線こそ封じたが、下位打線につかまった。悔しさだけが募る、6回5安打3失点だった。

 日本シリーズ出場へ崖っぷちで託されたマウンド。重圧はいつにも増して大きかったはずだ。DeNAとのCSファーストSは第1戦を託された。この経験を来季以降へ生かさなければならない。

 チームの先頭に立ち続けたシーズンが幕を閉じた。自身初の2桁11勝を挙げ、規定投球回にも初めて到達した。勝ち星、防御率2・19はチームトップ。飛躍し、充実の1年だった。

 最後に味わった思いを、来季へつなげる。「シーズンの最後も勝てなかったし、このままなら来年はやられる。もっと良いものを見せられるように頑張っていきたい」。床田は顔を上げてバスへ乗り込んだ。

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