初の春季キャンプに臨む広島・新井貴浩監督（４６）が３１日、キャンプ地の宮崎県日南市に入った。宿舎でのミーティングでは、昨季まで勝利時しか行わなかったベンチ前の整列を、敗戦時も行うことをナインに伝達。チームを「家族」と形容する指揮官は改めて“家族一丸”を強調し、キャンプから強い絆で臨む考えを示した。

　監督として初めて迎える球春到来を前に、自然と胸が高鳴った。３０日に誕生日を迎えた新井監督。「（現役時代の）誕生日は『始まるな』という感じだった。引退してからの４年間は普通の誕生日。そういう意味では“いつもの誕生日”に戻ったというか、少し緊張感がある」と語った。

　日南到着後は宿舎で全体ミーティング。その場で、どうしても伝えておきたいことがあった。「今まで、ホームゲームの時に勝った時にだけ整列して（ファンに）あいさつしていたけど、負けた時もやるぞ、と。それは自分の方から伝えた」。昨季まで、試合後のベンチ前での整列とあいさつは、勝利時のみ行ってきた。それを今季は敗戦時も実施する。

　根底にあるのは、ファンへの思い。「自分はカープのみんなを“家族”と表現する。それは選手、スタッフのみならず球団職員もファンの人も。うれしい時も悔しい時も、楽しい時も悲しい時も、全てをファンの人と共有しながら頂点を目指して、がんばっていきたい気持ちがある」。喜怒哀楽を分かち合いながら、“家族一丸”で新たな戦いに挑む。

　さらに「みんな、汗水を流して働いたお金でチケットを買って、見に来てくれている。テレビの前で応援してくれている人もいる。そういうファンの方に『ありがとうございます』と感謝の気持ちを伝えたい」と指揮官。どこにいるかは関係ない。どんな時も、どこで見ていても背中を押してくれる鯉党に、試合後も心を込めて向き合っていく。

　今春キャンプはファンの入場制限が撤廃。ブルペンには、昨季はなかったファン向けのスペースも設けられる。「プロ野球選手ですから、見られてナンボ。大歓迎ですね」と身近にいる“応援団”の存在も力に変える。

　昨秋キャンプでは見られなかった、背番号２５のユニホーム姿もいよいよお披露目される予定。若鯉たちの成長、開幕１軍を懸けた激しい競争も展開される１カ月間。「選手は一生懸命やってくれると思うし、楽しみにしています」。カープを構成する全てに対し、あふれる情熱と愛情を注いでいく。