【野球】広島は新井新監督就任で、伝統の胃から汗が出る地獄のキャンプが始まるのか

 広島は新井貴浩新監督(46)就任で、伝統の胃から汗が出る地獄のキャンプとなるのか。

 プロ野球の春季キャンプが2月1日スタートする。今年は3月にWBCが開催されるため、侍ジャパンに選出されたメンバーは途中離脱することになるが、12球団はリーグ優勝、日本一の座を目指し、キャンプで新戦力の見極め、現有戦力の底上げを図ることになる。

 就任2年目以降の監督が指揮を執るチームの練習メニューは、昨年と大幅に変わることはないだろう。だが、新人監督が就任し、スタッフも大幅に入れ替わったチームは意識改革の意味もあり、練習内容から雰囲気までガラリと変化する場合がある。

 ミスター赤ヘル、山本浩二氏(76)が広島の監督に就任した1989年(平成元年)がまさにそうだった。それ以前広島のキャンプの練習量は12球団随一といわれている。スケジュール表には朝から晩までビッシリと練習メニューが書き込まれていた。実際、担当記者時代、他球団から移籍してきたベテラン選手が「ウワサに聞いていたが、ここまでとは…」と半べそ気味になった姿を何度も目撃している。

 打撃陣に関していえば中堅、若手選手にはそれ以外にも早朝特打、深夜特打が科され、自室に戻ってからも素振りをする選手ばかりだった。だが、亡くなった衣笠祥雄さんや高橋慶彦(65)さんは当時発した「ヘタな人間は練習するしかない。俺たちが若手のときはこんなもんじゃなかった」という言葉を聞き「この人たちは人間じゃない」と、半ばあきれながらも感心するしかなかった。

 だが、89年2月1日のメニュー表は違っていた。午前中の欄にはベテランや若手の区別なく「ウオーミングアップ」の文字しか書かれていなかったからだ。鬼軍曹に異名を取った大下剛史ヘッドコーチ(78)の怒声が響く中、始まった練習はランニングから。だが、体を慣らすために行う10分や20分程度の軽いランニングではなかった。全員で「1、2、3」と声をそろえ、1時間以上もノンストップで走っていたと思う。記憶によれば、ウオーミングアップが終了したのは正午少し前だった。

 いつもは冗談をいって笑わせてくれる達川光男氏(67)も青い顔をして「胃から汗が出た」と迷言?を残すのやっとのランニング量だった。大下ヘッドはこの異例のウオーミングアップの意図について「われわれは挑戦者の立場。まずは意識を変えなくてはいけないからな」と話してくれたと思う。

 その年のキャンプ途中に広島担当から阪神担当が替わり、それ以降は日本ハム、ヤクルト、横浜(現DeNA)、巨人、西武とチームを渡り歩き、春季キャンプを取材してきた。だが、練習メニューそのもので驚いたことはあまりない。

 新井監督は「キャンプのテーマは切磋琢磨(せっさたくま)だ。競争なくしてチームの底上げはない」と話している。強い赤ヘル復活に向けて、伝統の胃から汗が出る猛キャンプが復活するに違いない。(デイリースポーツ・今野良彦)

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