広島・新井新監督 誰からも好かれ、誰もが応援したくなる人柄 愚直に努力、練習し続けた

 広島の新監督として新井貴浩氏(45)=デイリースポーツ評論家=の就任会見が12日、行われた。広島を愛し、広島に愛された新井氏の、新たな船出。これまで同氏に関わってきた球界OBやデイリースポーツ記者らがその人となりを語り、熱いエールを送る。今回は元カープ担当・河上記者の“エール”。

  ◇  ◇

 20年以上前だが、あのうれしそうな表情と口ぶりは鮮明に覚えている。3月。福山か倉敷か。相手チームも忘れた。オープン戦の試合前打撃練習の合間の一瞬、私を含め記者数人で、ベンチ前の新井と雑談していた。

 途中、新井が自ら打ち明けた。「少し前に清原さん(当時巨人)と初めていろいろお話しさせてもらったんです。『おまえの腕はマッチ棒みたいやな』って言われました。すごく感激しました」

 新井は長くて細い腕。もちろん一般人からすればごっつい。だが上腕二頭筋を鍛え上げた清原とは比べようもない。清原からすれば、それを冗談めかして“かわいがり”の激励の意味も込めて言ったのだろう。それでも、清原さんが僕のことを知っていた、その事実がうれしかったのだろう。認められた気がしたのではないか。

 ヤクルトで日本を代表する遊撃手だった宮本慎也も当時こんな話をしていた。新井が初めて球宴に出場した年の練習中、ダッシュで近寄ってきたという。

 「『広島の新井と言います。宮本さん、よければ僕に守備教えてください』ってね。タイプ的にバッティングの選手じゃないですか、新井は。他球団の後輩でも意外と、なかなかそんなん話しかけてこないですよ。それを臆せずに、というか。感心しました。あの姿勢があったら、あいつは将来、絶対に守備もうまくなりますよ」

 愚直に努力、練習し続けた。誰からも好かれ、誰もが応援したくなる人柄。きっと、いい監督になる。(デイリースポーツ・2000~04年広島担当・河上俊明)

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