広島・床田 連敗止めた!セ・トップタイ5勝目 圧投8回0封12K
「広島1-0日本ハム」(31日、マツダスタジアム)
こんな勝利が見たかった!広島・床田寛樹投手(27)が自己最多となる12奪三振の快投でチームの連敗を4で止めた。8回2安打無失点でハーラートップタイの5勝目。プロ入り通算300奪三振を達成し、自身にとっての交流戦初勝利もつかんだ。交流戦で先発陣が崩れる試合が続いた中、頼れる左腕が悪い流れを断ち切った。
勝利だけを信じて耐えしのいだ男に、女神がほほ笑んだ。攻めの姿勢を貫いた床田が、118球の熱投で5勝目だ。自己最多の12奪三振でチームの連敗を4で止めた。「何よりチームの連敗を止められたのが、一番うれしいです」と喜んだ。
圧巻は最後の八回。1死から浅間を直球で空振り三振に仕留め、続く水野もこの日最速152キロでバットの空を切らせた。「全力で投げてあの2者連続三振の真っすぐが、きょう1番良かった」。自画自賛の速球で流れを呼び込み、直後に味方が先制。ベンチで白い歯がこぼれた。
二回から六回まで無安打投球。直球に威力があり、変化球を低めに集めて三振の山を築いた。奪三振ショーで球場を熱気に包み、相手打線をきりきり舞いさせた。これでプロ入り通算300奪三振も達成。「8個目(の三振を)取った時から『あと2個ぐらい取りたいな』と思っていた。それ以外は別に何でもいいかなと」と意に介さなかった。
投手の花形でもある三振への執着は、ほとんどない。「『ここ』という場面で取れればあとは別に要らない。今川君の見逃し三振ぐらいで」と同点の七回2死二塁で、今川にバットを出させなかった場面を振り返った。
今季はシーズン中でもウエートトレーニングを重視。スクワットでは疲労が蓄積しても重量を最低でも120キロに設定している。「今まで、しんどかったら休めたかったけど、それは良くないと分かった。しんどくても今はやろうかなと」。どんな状況でも自分を律し、心身ともに鍛えている成果がマウンドで表れている。
先週は九里、大瀬良、森下らの先発陣が打ち込まれ4連敗。“投壊”を止めた左腕に佐々岡監督も「きょうは床田に尽きるでしょう。連敗で嫌な空気の中、素晴らしい投球」と最敬礼した。
床田は「けっこう良かったので70点。球数も少なくいければ、もっといい」と控えめな自己採点。だがチームの風向きを変えた快投には胸を張っていい。防御率も2・55でリーグ3位に浮上。5月最後のナイターで、背番号28の背中がいつもより大きく見えた。



